タイ・マッサージWEB講座

第7章:側臥位で下肢から背部へ

 第7章の概要

《 施術の流れと順序 》

第7章は、マッサージを受ける人は仰向けに横たわり、その肩甲間部からはじめて項部~頭部、顔面、胸部と上肢、腹部の施術をし、次章に向けて座位に体位変換するという合計44項目を紹介します。状況によって顔面の施術を施術するか否かを判断しますが、その場合の挿入ポイントは、7-067-077-09のいずれかになります。

 7-01 背中を押し上げる

  

背中を押し上げる

手順

① 仰臥位になっている相手の左右の肩と床の間に
② 術者の掌を上に向けて深く差し入れます。
③ 四指の腹で肩甲間部を押し上げるようにして、肩甲骨下角の高さから上角の高さに至るまで3,4回に分けて指圧します。

施術の目的

肩甲間部にある諸筋の圧迫。。

補足

施術のコツ:前腕を肩甲間部と床の間に差し込むことが困難な場合、以下の手順でおこないます。
① 術者は左手を相手の右肩下にあてて持ち上げ、
② 右前腕を相手の首の脇から肩甲間部に差し込む。
③ 右前腕で相手の胴体上部を持ち上げ、
④ できた隙間から左前腕を肩甲間部に差し込む。
率直に言ってかなりの力技です。体重が重い相手に施術するのは更に難しいでしょう。筋力が弱い方はパスしてよいと思います。

 7-02 頚部基部の指圧

  

頚部基部の指圧

手順

①:マッサージを受ける人の頭の先に座り、腰の位置を低くします。
②:相手の肘や上腕を持って、上肢帯(=肩甲骨から指先までの部分)を術者の方向に引き寄せます。
③:手のひらを上に向け、頚部基部を指圧します。
④:終わったらもう一方の側にも施術します。

施術の目的

僧帽筋下行部、肩甲挙筋の圧迫。

補足

参考:筋の弛緩時圧迫(=スラックオフ法)ですので、過大な圧迫力は必要ありません。僧帽筋下行部の緊張が解けるように、上肢帯の位置を変更してみてください。

 7-03 僧帽筋下行部のストレッチ:頚部捻転で

  

僧帽筋下行部のストレッチ:頚部捻転で

手順

①:マッサージを受ける人の頭の先に座り、腰の位置を低くします。
②:右手を頭の下に入れて、指先を左後頭部の頭蓋骨の縁に当て、手のひらで頭を支え持ちます。
③:左拇指を肩峰の内側にあて、僧帽筋が外側にピンと張るようにします。
④:この状態から右手首を掌屈します。するとマッサージを受ける人の頭部が右に屈曲して各所のストレッチができます。 ⇒終わったらもう一方の側に同様の施術をします。

施術の目的

僧帽筋下行部のストレッチ

補足

施術のコツ:ストレッチ手技を上手く施術できない方は、技の最終的なカタチだけが頭にあるため、失敗していることが多いようです。
本項でも“③”の段階で頭部が右に回旋していると、それ以上に回旋する余地が無いためストレッチができません。頭部に回転を与える前に僧帽筋が伸びきった状態にしておき、そこから更にストレッチをかけるようにすると上手く施術できます。

 7-04 項を持ち上げて指圧

  

項を持ち上げて指圧項を持ち上げて指圧

手順

① マッサージを受ける人の肩に向かい、腰の位置を低く構えます。
② 左の手のひらで頭を持ち上げ、右の手のひらをうなじの下に差し入れます。 ③ 下位頚椎から頭蓋骨方向に向けて波打つように四指の内何本かを使ってうなじを持ち上げながら、
④ 頚部を手前に引く力を掛け続けます。

施術の目的

頚部の脊柱起立筋群に、左右から指圧

補足

施術のコツ:指の腹の部分を使って持ち上げます。四指全てを使うのではなく、相手の項の形状にフィットするように使う指を決めます。

 7-05 後頸部側面の指圧:横への屈曲で

  

後頸部側面の指圧:横への屈曲で

手順

①:あお向けに横たわったマッサージを受ける人の肩に向かい、腰の位置を低く構えます。
②:右側頸部の指圧をする場合、左手の指先を右後頭部の頭蓋骨の縁に当て、手のひらで頭を支え持ちます。
③:右前腕を床につけて右拇指を頚部の付け根(第6頚椎の横突起から右2横指辺り)にあてます。
④:左手でマッサージを受ける人の頭部を右にかしげるように曲げます。すると、右拇指を中心に頚椎が回転し、結果として指圧ができます。下位頚椎から頭蓋骨の方向に向けて拇指をあてる位置を3箇所ほど変えて施術します。

施術の目的

頚部の脊柱起立筋群に、側面から指圧

補足

施術のコツ:7つある頚椎は8つの関節を持ち、それぞれが前後・左右への屈伸のほか、回旋も自由(上位頚椎は特に)です。本施術でも、どの位置に拇指を当てるかによって回転の軸が異なります。

 第7章:顔面の施術

《 施術の流れと順序 》

ここからは顔面の施術を19項目紹介します。化粧を損なわずに加療する場合は顔面への施術は避けるのが懸命でしょう。顔面の施術をしない場合は7-26:頸部の牽引までジャンプしましょう。

《 顔面の施術の基本 》

ヒトの様々な表情を作る『表情筋』は、顔の骨や、別の筋の途中から出発して真皮の深層に消えています。骨格筋にストレッチする場合は関節の構造を利用することが可能でしたが、表情筋の場合は顔面を覆う皮膚を引っ張ることでストレッチをします。
また、繊細な皮膚を持つ人に対しては皮膚を摩擦するような刺激は避けなければいけません。摩擦を軽減する手立てとしてオイルやローションを使う手もありですが、指を顔面に滑らすことなくストレッチすることで肌を傷つけずに済むはずです。
表情筋のストレッチ/マッサージは原則的に、① 中心から側面へ② 下から上へ
という動きを基本にします。
施術の順番は一例に過ぎず、特別これは守らなければならない施術順というようなものはありません。熟練したら自由に選択し、組み合わせてください。

《 施術の基本姿勢 》

あお向けに横たわったマッサージを受ける人の肩に向かって座り、顔面に手を伸ばします。

 7-06 おとがい下部のストレッチ

  

おとがい下部のストレッチおとがい下部のストレッチ

手順

①:マッサージを受ける人の頭頂部に向かって座り、そこから顔面に両手を差し伸べて施術します。
②:片手の四指をマッサージを受ける人の喉に横向きにあて、
③:もう一方の四指をオトガイ側に縦向きにあて、
④:②と③の四指を離すようにしながらストレッチをします。

施術の目的

舌骨と下顎間の筋をストレッチ

補足

注意:“②”では喉を強くを押してはならない!

 7-07 下顎の稜線をつまむ

  

下顎の稜線をつまむ

手順

①:引き続き、仰臥位のマッサージを受ける人の頭方向から顔面に手を差し伸べて施術します。
②:示指と中指を揃え、拇指と対立させて下顎の縁をつまみます。オトガイからはじめて顎の端まで、軽く、丁寧に施術してください。

施術の目的

下顎の稜線を跨ぐ筋群の圧迫

 7-08 耳介を圧迫

  

耳介を圧迫耳介を圧迫

手順

①前項でつまむ手技が下顎の終わりに達したら、そのまま耳朶(=みみたぶ)の端に指を移し、
②耳介の周囲を上の方に移動しながら、拇指の腹と示指の側面で挟んで軽く圧迫します。

施術の目的

耳たぶへの、ごく軽い圧迫

 7-09 おとがいを揉む

  

おとがいを揉む

手順

下唇の下から頤に向けて軽くストレッチしながら拇指で揉みます。

施術の目的

口角下制筋、下唇下制筋、オトガイ筋のストレッチ

 7-10 下唇をストレッチ

  

下唇をストレッチ下唇をストレッチ

手順

①:左右の四指の腹を下顎の両側の縁に軽くあて、
②:左右の拇指を、下唇とおとがいの間に置き、ここを基点に唇の両端方向に拇指を滑らせます。
③:最後に唇の端で指を止め、指を滑らさないようにして側方/上方に軽く引き上げます。

施術の目的

口輪筋下部、口角下制筋、笑筋のストレッチ

補足

施術のコツ:マッサージを受ける人の皮膚と術者の指との摩擦が強い場合は、拇指を反らせて(背屈して)使います。当該部を外に引く力を加えながら拇指の腹の曲面を転がすようにします。

 7-11 鼻と唇の間をストレッチ

  

鼻と唇の間をストレッチ

手順

①:左右の四指の腹を下顎の両側の縁に軽くあて、
②:左右の拇指を、鼻と上唇の間に置き、ここを基点に唇の両端方向に拇指を滑らせます。
③:最後に唇の端で指を止め、指を滑らさないようにして側方/上方に軽く引き上げます。

施術の目的

口輪筋の上部、頬骨筋、頬筋のストレッチ

補足

施術のコツ:マッサージを受ける人の皮膚と術者の指との摩擦が強い場合は、拇指を反らせて(背屈して)使います。当該部を外に引く力を加えながら拇指の腹の曲面を転がすようにします。

 7-12 指の腹で頬を叩く

  

指の腹で頬を叩く

手順

指の関節を伸ばし、トレモロやトリルで鍵盤を弾くように、隣り合う指を交互に素早く動かし、指の腹で頬を小さく軽く叩きます。

施術の目的

大頬骨筋、上唇挙筋、口角挙筋、咬筋に刺激をあたえる。

 7-13 頬の筋を細かく刺激する

  

頬の筋を細かく刺激する

手順

こんどは指の関節を屈曲して頬にあて、指の腹が頬の皮膚にあたると同時に指の屈曲を強め、目的とする筋の走行に沿って小刻みに指を引きます。

施術の目的

大頬骨筋、上唇挙筋、口角挙筋、咬筋に刺激をあたえる。

 7-14 鼻の横を側方にこする

  

鼻の横を側方にこする

手順

①:あお向けに横たわったマッサージを受ける人の頭方向に座って施術します。
②:左右の拇指を指先を下にして使い、鼻を山脈にたとえたら山麓に当たる部分を滑らすようにして外側にこすります。

施術の目的

鼻筋の横部、上唇挙筋、上唇鼻翼挙筋のストレッチ

補足

施術のコツ:皮膚に過度の刺激を与えないよう、この場合は拇指を反らせて、当該部を外に引く力を加えながら拇指の腹で作った曲面を転がすようにします。

 7-15 頬骨前面の圧迫/ストレッチ

  

頬骨前面の圧迫

手順

鼻の稜線の直ぐ脇に反らした拇指の先端をあて、鼻から頬にかけて滑らすようにします。

施術の目的

上唇挙筋、小頬骨筋のストレッチ

補足

施術のコツ:皮膚に擦る刺激を与えたくない場合は、拇指を反らせて当該部にあて、外に引く力を加えながら頬の曲面を軽く引っ張るようにします。

 7-16 鼻骨の圧迫

  

鼻骨の圧迫鼻骨の圧迫

手順

左右の人差し指を使って、鼻骨を左右から圧迫します。(下図のように人差し指と拇指で挟むように圧迫してもよい。)

施術の目的

鼻骨周囲の各縫合に力を加える。

 7-17 眼窩上部をつまむ

  

眼窩上部をつまむ眼窩上部をつまむ

手順

眼窩(がんか=眼球を収める頭蓋骨の窪み)の上部の縁を、ごく軽くつまみ上げながら目頭から目尻方向に向かいます。

施術の目的

眼輪筋の上部と前頭筋、皺眉筋のストレッチ

補足

注意:眼窩上縁と眉の位置は必ずしも一致しません。

 7-18 眼窩の下部を引く

  

眼窩の下部を引く

手順

①:マッサージを受ける人の頭の方向から手を伸ばし、施術します。
②:四指をごく軽く左右のこめかみの横にあて位置決めをし、
③:左右の拇指の腹を鼻の付け根にあて、
④:外側に向けて擦るようにします。
⑤:最後に、目尻の皮膚をこめかみより上の方に向かって軽く引きます。

施術の目的

眼輪筋下部のストレッチ

補足

施術のコツ:拇指を反らせ、当該部を外に引く力を加えながら拇指の腹の曲面を転がすようにし、摩擦を避けます。
注意:コンタクトレンズを挿入している人には施術しない。装着の有無を口頭で確認するといいでしょう。

 7-19 まぶたをこする

  

まぶたをこする

手順

マッサージを受ける人の頭方向から手を伸ばし、左右の拇指でまぶたを鼻稜から外側方向にそっと擦ります。

施術の目的

眼輪筋のストレッチ

補足

注意:コンタクトレンズを挿入している方への施術はできません。あらかじめ確かめておいてください。

 7-20 鼻の上部を頭方向に引く

  

鼻の上部を頭方向に引く

手順

①:マッサージを受ける人の頭の方向から手を伸ばし、施術します。
②:左右の手のひらの手根部(或いは拇指)を髪の生え際に軽くあて、
③:鼻の最上部、額の手前の凹んだところに中指や薬指を置いて、
④:この部分を額側に向かって引き寄せるようにします。

施術の目的

鼻根筋のストレッチ

 7-21 額を上方に擦る

  

額を上方に擦る

手順

①:前項終了後、拇指または四指を額側に滑らせ、額の上を縦方向に(生え際方向に)こすります。
②:最初は鼻根筋部分から、次に眉の中央から、最後に眉の端から、と、三筋くらいに分けてこすります。

施術の目的

前頭筋のストレッチ

 7-22 髪の生え際をこする

  

髪の生え際をこする

手順

①:マッサージを受ける人の頭の方から手を伸ばし、施術します。
②:第三指と第四指を揃えてこめかみにあて、
③:左右の拇指で額中央から分けるように外側にこすり、最終的にはこめかみ直前で終わります。
④:髪の生え際、中央、眉付近と3箇所くらいに分けると良いでしょう。

施術の目的

前頭筋を側方にストレッチ

 7-23 こめかみの圧迫/ストレッチ

  

こめかみの圧迫

手順

①:マッサージを受ける人の頭の方から手を伸ばし、施術します。
②:頭頂部に左右の拇指を置き、
③:第三指と第四指の指の腹をこめかみにあてます。
④:指を回転させつつこめかみを圧迫し、側頭部方向に力を掛け続けます。

施術の目的

側頭筋の圧迫とストレッチ

補足

参考:側頭筋は下顎を閉じるために働く強力な骨格筋で、下顎の上端と側頭部に至る筋です。眼窩の下縁から外耳道手前を結ぶ頬骨弓の下を通り抜ける辺りでは2~3cmの厚みがあります。こめかみとは、頬骨弓の直ぐ上の部分を指します。

 7-24 頭皮のマッサージ

  

頭皮のストレッチ

手順

①:マッサージを受ける人の頭の方から手を伸ばし、施術します。
②:両手の指を開いて頭部にあて、指の腹が頭皮に密着するようにし、
③:指先をすぼめたり開いたりして頭皮を動かします。

施術の目的

帽状腱膜、後頭筋、側頭頭頂筋のストレッチ

補足

参考:指が髪を掻き分ける時に相手の頭の中には『じゃりじゃり』と音が響きます。指の腹を5本とも頭皮にしっかりと押し付け、頭皮自体を揺り動かすつもりで施術しましょう。

 7-25 髪を束ねて引っ張る

  

髪を束ねて引っ張る髪を束ねて引っ張る

手順

①:マッサージを受ける人の頭の方から手を伸ばし、施術します。
②:束ねた髪をしっかりと掴んで、手前にゆっくりと引きます。

施術の目的

帽状腱膜、後頭筋、側頭頭頂筋のストレッチ

補足

施術のコツ:束ねた髪の芯を、しっかりと把握して施術すれば、髪を引くことで痛みを与える心配はありません。

 7-26 仰臥位で頚部を牽引

  

仰臥位で頚部を牽引

手順

①:マッサージを受ける人の頭の方から手を伸ばし、施術します。
②:左右の手指を揃えて合わせ、頸の後ろの筋肉を圧迫します。肘をマットの上につきます。
第二指(人差し指)と第3指(中指)を使って手前側に回転する力を加えながら術者の体に向かって頚部を引き寄せるようにします。
③:最終的に後頭骨の縁に左右の第二指と第三指があたるので、頚椎最上部を軽く伸展させ、頭部を手前に引き寄せて10秒ほど引き続けます。

施術の目的

頚部の牽引と指圧刺激

補足

施術のコツ:“③”で頭部を手前に引く際に、肘をマットから離さないでください。

 7-27 頭蓋骨の圧迫:斜め方向に

  

頭蓋骨の圧迫:斜め方向に頭蓋骨の圧迫:斜め方向に

手順

①:マッサージを受ける人の頭の方から手を伸ばし、施術します。ここでは腰の位置を低く構え座ります。
②:相手の頭部を軽く左側に回旋し(=体幹の軸に沿って廻す)、
③:指先を上にした右手の手根部(手首に近い部分)を、頭蓋骨の後ろ側右寄りの部分にしっかりとあてます。
③:左手の手根部を、相手の額の左上の部分に、指先を上にしてしっかりとあてます。
④:向かい合わせの力が、頭蓋骨を挟んで一直線になるよう、両腕の軸を揃えます。頭蓋骨を大雑把に球体と考えたとき、球の中心を貫く矢の如く両腕の位置を決めます。
⑤:頭蓋骨を左右の手根部分で押し潰すように力を加えます。
⇒終わったら反対側にも施術します。

施術の目的

頭蓋骨を歪める応力を与える。

補足

施術のコツ:『林檎を貫く一本の矢のように』左右の前腕の軸をあわせるというのがポイント。術者の左右の前腕の軸がずれていると全く効果が出ません。

 7-28 頚部後面のストレッチ

  

頚部後面のストレッチ

手順

①:マッサージを受ける人の頭の方から手を伸ばし、施術します
②:クライアントの頭の下から右前腕を挿し入れて、四指を左鎖骨の上にあてます。
③:次に左前腕を右前腕の下から差し入れて、今度は四指を右鎖骨の上にあてます。
④:左右の四指がそれぞれ反対側の鎖骨に乗ったら術者は上体を持ち上げて、左右の前腕を使って頭部を前方に曲げる力を加え、ストレッチを完成します。
⑤:次に頭に接触している方の前腕(この場合は右前腕)だけを手前に抜きとり、左前腕の下からクライアントの左鎖骨の上に四指を再びあて、上記と同様の施術をします。

施術の目的

項部の筋にストレッチ

補足

施術のコツ:この施術は傍目に見ると極端な印象を与えますが、意外に痛みを与える心配がないもの。普通の人は頭の軸が床から90度つくまで持ち上げても問題ありません。
注意:急激な動きを与えるのは禁物。乱暴な施術をすれば頚部にダメージを与えます。限界までゆっくりと頭を持ち上げ、またゆっくりと床に置くことが必要です。

 7-29 耳を塞いでから開放

  

耳を塞いでから開放耳を塞いでから開放

手順

①:マッサージを受ける人の頭の方から手を伸ばし、施術します
②:手のひらを耳介(じかい=耳朶)にあてて密着させ、そのまま30秒ほど数え、
③:親指側からゆっくりと手のひらを離す。

施術の目的

一時的に聴覚をさえぎる。1-22と同様に絶たれていたものが蘇る感覚を演出するものです。いわば「再生の感覚」を体験してもらう施術です。

補足

施術のコツ:手のひらの窪みを利用して、周囲の音が聞こえなくなるようぴったりと耳を塞ぎます。
手のひらを耳介から離す際には外耳に負圧が発生しないよう、ゆっくりと丁寧におこなってください。

 7-30 小胸筋の指圧

  

小胸筋の指圧

手順

①:あお向けに横たわった相手の肩関節の横に、体幹を足方向に向けて座ります。
②:左右の鎖骨の下にそれぞれ術者の拇指の腹をあてて圧迫します。

施術の目的

小胸筋の指圧

補足

施術のコツ:術者の上体が相手の顔面を覆うことがないように“①”の座り位置に注意してください。この座り位置からですと、体の片側に寄った位置から施術することになります。左右均等に荷重できるよう努力しましょう。
⇒ここから“7-14”まで、連続した施術と考えると便利です。

 7-31 胸部へ手根圧

  

胸部へ手根圧

手順

①:引き続き、あお向けに横たわった相手の肩関節の横に、体幹を足方向に向けて座っています。
②:左右の指先を外側に向け、手首部分を肩関節の内側に置きます。
手首を置く位置は肩関節と乳の間を目標にするとわかりやすいと思います。

施術の目的

大胸筋の圧迫/ストレッチ

補足

施術のコツ:上肢を回内(肩関節の回内)するとスラックオフ肢位となりますが、回外ではストレッチでの圧迫(=“筋の伸展時圧迫”)となりますので、強い圧をかける必要はありません。
⇒“7-11”~“7-14”まで、連続した施術と考えると便利です。

 7-32 上腕部の掌圧

  

上腕部の掌圧

手順

①:引き続き、あお向けに横たわった相手の肩関節の横に、体幹を足方向に向けて座っています。
②:左右の上腕部にそれぞれ術者の手のひらをあて、体重移動して圧迫します。

施術の目的

上腕部をやさしく圧迫する

補足

施術のコツ:この座り位置からですと、体の片側に寄った位置から施術することになります。左右均等に荷重できるよう努力しましょう。
⇒“7-11”~“7-14”まで、連続した施術と考えると便利です。

 7-33 前腕部の掌圧

  

前腕部の掌圧

手順

①:引き続き、引き続き、あお向けに横たわった相手の肩関節の横に、体幹を足方向に向けて座っています。
②:前項に引き続き、前腕に掌圧をします。肘方向から手先まで徐々に歩くように圧迫します。
③:施術が終わったら次項の『腹部のマッサージ』に備えて上肢を体幹から離しておきます。

施術の目的

肘から末梢部分に柔らかい圧迫を掛ける。

補足

施術のコツ:この座り位置からですと、体の片側に寄った位置から施術することになります。左右均等に荷重できるよう努力しましょう。
⇒“7-11”~本項まで、連続した施術と考えると便利です。

 7-34 腹部のマッサージ:左右に波うたせて

  

腹部のマッサージ腹部のマッサージ

手順

①:マッサージを受ける人の胴体の横に、術者の体幹が相手に対して直角に向くように座ります。
②:一方の手を腹の手前に、もう一方の手を腹の向こう側にあて、
③:腹部の臓器を向こう側に押しやったり、手前に引いたりするつもりで圧迫します。

施術の目的

腹筋のストレッチと消化器のマッサージ

補足

参考:腹部をマッサージできるのは(左側から施術する場合)、胸骨の剣状突起⇒左肋軟骨の下縁⇒左腸骨稜⇒恥骨⇒右腸骨稜⇒右肋軟骨の下縁、という、正面から見ると菱形に見える範囲です。
断面を見ますと、背部中央には脊柱とそれを支える筋肉が山脈のように盛り上がって観察されます。この盛り上がりの上に腹大動・静脈や消化器系の内臓器が乗っている形です。

 7-35 腹部のマッサージ:球体で圧迫するように

  

腹部のマッサージ腹部のマッサージ

手順

①:マッサージを受ける人の胴体の横に、術者の体幹が相手に対して直角に向くように座っています。
②:腹部に鞠を転がすような感触を与えるために、左右の手の動きを組み合わせて腹をマッサージします。
③:手のひらを反らし、手首から指先までを腹部に順にあてていき(手を滑らすことはしない)、指先にもう一方の手を繋いで施術が繋がるようにします。

施術の目的

腹部内臓器のマッサージ

補足

施術のコツ:腹部のマッサージは一般的には難しいといわれています。上手く施術するためには
① 施術エリアはどの範囲なのかを知る。
② 目的部位の解剖学的な構造を知る(大雑把に、で良い)。
の2点が大事です。練習には自らの腹部を使うと力加減を知ることができますので励んでください。

 7-36 下肢後面をストレッチ

  

下肢後面をストレッチ

手順

①:あお向けに横たわったマッサージを受ける人の足元に立ちます。
②:相手の踵を持って術者の腹部にまで持ち上げ、鼠径部に踵を載せます。
③:膝蓋骨の上に手のひらを当て、ここに軽く加重するとストレッチが完成します。

施術の目的

下肢後面の筋群をストレッチする。

補足

施術のコツ:膝関節を過伸展させる応力を加える施術ですので、膝の疾病を抱える人には施術しないことはもちろん、健常者が対象であっても過大な力を加えることは避けましょう。
⇒ここから“仰臥位から座位への体位変換”まで、ひとまとめに考えると便利です。

 7-37 背中のストレッチ

  

背中のストレッチ

手順

①:前項に引き続きあお向けに横たわったマッサージを受ける人の足元に立っています。
②:マッサージを受ける人に、膝蓋骨に手を当てて肘を曲げないでくださるよう、お願いします。
③:左右の踵を片手でまとめて持ち上げ、クライアントの頭の上にまで送り出すようにします。

施術の目的

脊柱起立筋群のストレッチ

補足

施術のコツ:“③”でマッサージを受ける人の踵を持って送り出す途中で相手の肘が曲がってしまうことがあります。そうすると膝もついでに曲がってしまい、うまく施術できません。このような場合は一旦施術をやめて、再度マッサージを受ける人に肘をしっかり伸ばしてくれるよう、お願いします。
⇒一連の施術として次項に続きます。

 7-38 下肢後面を叩く

  

下肢後面を叩く

手順

①:前項で、マッサージを受ける人は、その肩から頭のみが床に接地し、肘を伸ばして両手を膝にあてており、踵は顔の上くらい(マッサージを受ける人の身体の柔らかさによる)にあります。
②:片手で踵を空中に保持したまま、もう一方の手で拳を作って下腿から大腿までを軽く叩きます。

施術の目的

下肢後面の筋に瞬間的なストレッチをする

補足

施術のコツ:しっかりと“①”の体勢を保つためには、踵を前に送り出す力を常に加え続けることが必要です。

 7-39 足底の指圧

  

足底の指圧

手順

①:前項が終わり、相手の両脚を手前に戻しながら、マッサージを受ける人の左の踵を術者の腹部に載せ、
②:右脚の膝を曲げさせて相手の左脚の上に重ねます。組んだ脚はアラビア数字の『4』のように見えます。
③:左足背に四指をあてて部位を安定させ、
④:左足底に想定した3本のラインに沿って指圧をします。

施術の目的

下肢後面の筋群をストレッチしつつ、足底の筋に指圧を加える。

補足

施術のコツ:相手の下肢が長いと、下肢を持ち上げたとき、踵が術者の胸部に位置してしまいます。それでは施術がやり難いので、術者は適当なところまで後ろに下がり、股関節の屈曲角度を浅くして踵の位置を下げてください。
⇒一連の施術として次項に続きます。特に本項から“7-24”までの3項は連続して考えると便利です。

 7-42 足底を前腕で圧迫

  

足底を前腕で圧迫

手順

①:前項が終わった時点で、相手の左の踵は術者の腹に載っており、右脚の膝が曲がって左脚の上に重なって、アラビア数字の『4』のカタチに見えています。。
②:左手で、相手の足背を持ち、術者の腹にあてた踵を安定させつつ、
③:右の前腕の肘に近い部分を使って、足底を踵から指先に向かって伸すようにしながら圧迫します。

施術の目的

下肢後面、特に下腿の屈筋群に強力なストレッチをしつつ、足底の筋にも圧を加える。

補足

施術のコツ:相手の膝がしっかり伸びていないと、効果的な施術になりません。術者の身体の何処に相手の踵を置くか、適宜調節してください。

 7-41 下腿後面を掌圧

  

下腿を掌圧

手順

①:前項が終わった時点で、相手の左の踵は術者の腹に載っており、右脚の膝が曲がって左脚の上に重なって、アラビア数字の『4』のカタチに見えています。。
②:左手で、術者の腹につけている足を掴んで部位を安定させ、
③:右の手のひらを大きく開いて相手の下腿後面を掌圧します。

施術の目的

下腿後面の屈筋群に柔らかい圧を加える。

補足

施術のコツ:手指をできるだけ大きく開いて施術します。掌圧なので、指が相手の下腿に食い込まないよう注意してください。

 7-42 大腿後面を膝で圧迫

  

大腿後面を膝で圧迫大腿後面を膝で圧迫

手順

①:前項が終わった時点では、相手の左の踵が術者の腹に載っており、右脚の膝が曲がって左脚の上に重なっていますのでアラビア数字の『4』のカタチに見えています。。
②:術者の左手を相手の足首に添え、相手の右下肢を左腕で支えて姿勢を整え、
③:右足指を左大腿部付近に着き、
④:右の膝下部分を使って相手の大腿部後面を2,3箇所圧迫します。

施術の目的

大腿後面に柔らか且つ強力な圧を加える。

補足

施術の手順:“7-20”~本項までが終了したら、相手の右足に同じ施術をしてください。
相手の左右に施術が済んだら次項に進みます。

 7-43 膝を掌で床方向に圧迫

  

膝を掌で床方向に圧迫

手順

①:あお向けに横たわった相手の下肢を胡坐のかたちに組みます。
②:相手の脛の前に立ち、
③:左右の膝を同時に床方向に押し付けます。

施術の目的

背筋のストレッチ

補足

注意:施術が終わっても同じ位置に立ち、相手の胡坐は解かないでください。次項の施術に続きます。

 7-44 組んだ下肢を膝で押し出す

  

組んだ下肢を膝で押し出す

手順

①:マッサージを受ける人の下肢は胡坐に組まれています。
②:術者は相手の脛の前に立ち、
③:術者と手首を握り合ってもらうよう、マッサージを受ける人にお願いします。
④:相手の上肢を手前に引くと同時に、
⑤:術者の下腿前面で脛を前方に送り出すように圧迫します。

施術の目的

背筋のストレッチ

補足

施術のコツ:本施術では相手の脛と術者の脛が互いに接触しがちになり、時間を掛け過ぎると痛みが意識されてしまうため、素早い施術が望ましいと思います。
注意:施術が終わっても相手の手首を離さないでください。次項の施術に続きます。

 7-45 体位変換:仰臥位から座位へ

  

体位変換:仰臥位から座位へ

手順

①:前項の施術が終わった時点で、術者はマッサージを受ける人と手首を握り合っており、相手が組んだ脚の前にそのまま立っています。
②:マッサージを受ける人の手首を引きながら、
③:組んだ脚を押さえていた術者の脛を後退させると、
④:胡坐を組んだままで相手の姿勢を座位にすることができます。

施術の目的

仰臥位から座位にする