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第3章:側臥位で下肢から背部へ

 第3章の概要

《 施術の流れと順序 》

この章ではマッサージを受ける人は横向き(=側臥位)になり、下肢~体幹~上肢の順にに施術します。
背部への施術に重点を置くセクションで、指圧や掌圧に加え、前腕を使う圧迫や固定に膝を使うなど、技の種類が多くなります。第2章からそのまま続いて片側だけを施術します。

 3-01 右の足裏を前腕で圧迫

  

手順

① 側臥位で下になる右膝を軽く屈曲し、足背を術者の左大腿部に載せます。
② 右前腕の肘に近い部分を使って、踵から足先に向けてストレッチしながら圧迫します。この際前腕を僅かに回外させ、足底のアーチ全体に圧迫が及ぶようにします。

施術の目的

足底を強く圧迫する。

補足

施術のコツ“前腕の肘に近い部分を使う”と書いてもなかなか理解できないことでしょう。前腕の中央部分では圧迫が効きませんのでご注意ください。
また、“前腕を回外しながら”、というのも初心者が躓き易いところ。術者の上体が肘と一緒に左側に傾いてしまう間違いが多い。前腕の回外と同時に上体を前に傾けるようにするのがコツ。
自身の肩を傷めないよう、脇をしっかり締めておきましょう。

 3-02 下腿内側、脛骨の際のラインを指圧

  

手順

① 前項に続き、側臥位で床面に置いた右下腿に施術します。
② 脛骨の際のラインが真下に見えるような位置に座り、ラインに術者の拇指を置いた際に肘が真っ直ぐに伸びるよう、座り位置の高さ調整をします。
③ 下腿内側にある脛骨(青の直線で図示)の際に沿ってラインを想定(青のドット)し、アキレス腱から出発して膝直前に至るまでを指圧します。
つま先を12時、踵を6時の方向としたら、脛骨際のラインは3時くらいになります(下図)。

施術の目的

腓腹筋内側頭の循環促進

補足

施術のコツ:① 本施術では拇指の縁(示指側の)で、脛骨の際を探りながらラインを確認できます。
② 下腿の浮腫みや腓腹筋の疲れがある場合、軽く圧迫した積もりでも痛みに繋がることがあります。マッサージを受ける人の状態を注意深く観察しましょう。(相手に痛みの有無を尋ねるのも手っ取り早い。)

 3-03 下腿後面中央のラインを指圧

  

手順

① 引き続き右下腿を床面に置いています。
② アキレス腱から膝窩に至る、下腿後面中央のラインを想定し、アキレス腱から出発して膝窩に至るまで数箇所に分けて指圧します。
③ ここでは両手を低く構えて施術したいので、腰の位置が低めになるよう、座り位置の高さを調整をします。
つま先を12時、踵を6時の方向としたら、下腿後面中央のラインは6時になります。

施術の目的

下腿こう面中央の筋を指圧する。

補足

施術のコツ:① 先ず座り位置を低くし、
② 前腕は自身の大腿の上に置き、
③ 四指を下腿に軽く載せ、手首を返しながら(=背屈しながら)拇指を突き出して指圧します。

 3-04 腓腹筋内側頭中央のラインを指圧

  

腓腹筋内側頭中央のラインを指圧

手順

① 引き続き右下腿を床面に置いています。
② 前項で圧迫した「脛骨際のライン」と「下腿後面中央」との中間に腓腹筋内側頭中央を通るラインを想定し、
③ アキレス腱の内側から出発して膝関節直前に至るまで数箇所に分けて指圧します。

施術の目的

腓腹筋内側頭の循環促進

補足

施術のコツ:① 目的部位に指を置いた際に肘が真っ直ぐに伸び、しかも目的の場所が術者から見て真下になるよう、座り位置の高さ調整をします。座り位置が上がったり下がったりで面倒ですね?慣れてきてラインがはっきりわかるようになったら、“3-02”~“3-04”までの施術順はご自由にどうぞ。
② 下腿の浮腫みや疲れがある場合、こちらが軽く圧迫したつもりでも痛みに繋がることがあります。マッサージを受ける人の状態を注意深く観察しましょう。

 3-05 下腿内側に掌圧

  

手順

① 引き続き術者から見て手前にある右下腿に施術します。
② 目的部位に術者の手のひらを当てた際に肘が真っ直ぐに伸び、しかも目的の場所が真下に見えるよう、座り位置の高さ調整をします。
③ 右下腿の内側を、内くるぶしの直上から膝直前まで掌圧します。

施術の目的

下腿後面の、足指や足関節底屈、膝屈曲に係わる諸筋に柔らかい圧迫をする。

補足

施術のコツ:目的部位に術者の手のひらを当てた際に肘が真っ直ぐに伸び、しかも目的の場所が真下に見えるよう、座り位置の高さ調整をします。

 3-06 大腿内側中央の指圧

  

大腿内側中央の指圧大腿内側中央の指圧

手順

右大腿内側の中央にラインを想定し、膝関節の中枢寄りの大腿骨が細くなる辺りから出発し、坐骨直前まで数回に分けて指圧します。
① 上体を捻って相手の頭の方向に向きます。
② 膝を軽く屈曲させ、股関節を軽く外旋させる(=大腿部内側の筋群のスラックオフ)目的で、マッサージを受ける人の足を術者の大腿部に載せます。
③ 左右の四指を大腿の前後にそれぞれ軽く当ててガイドにし、拇指で圧迫します。

施術の目的

大腿の内転と膝屈曲に係わる筋肉への指圧

補足

施術のコツ:この肢位では大腿内側の筋、特に短内転筋がスラックオフの位置にあるため、強い指圧をかけることができます。
尚、大腿内側の膝上10cmくらいの大腿骨が細くなってくる辺りに、痛みに敏感なポイント(血海)がありますので注意しましょう。

 3-07 大腿内側の掌圧

  

大腿内側の掌圧大腿内側の掌圧

手順

右大腿内側全体を掌圧します。前項と同様に、
① 上体を捻ってマッサージを受ける人の頭の方向に合わせます。
② 膝を軽く屈曲させ、股関節を軽く外旋させる(=大腿部内側の筋群のスラックオフ)目的で、相手の足を術者の大腿部に載せます。
③ 全ての指を揃え、大腿内側の曲面に合わせて当て、ゆっくりと体重を載せていきます。膝関節の中枢寄りの大腿骨が細くなる辺りから出発し、坐骨直前まで2,3回に分けて施術します。

施術の目的

大腿の内転と膝屈曲に係わる諸筋の循環促進

補足

施術のコツ:大腿部内側は坐骨付近に圧迫が及ぶ場合に特に気持ちよく感じるという人が多いです。本章の側臥位姿勢では左右の足がクロスし、天井方向から見ると右大腿の上に左大腿が斜めに重なって見えていますが、この重なり部分までなら陰部に接触する懸念もないのでギリギリまで圧迫を加えます。

 3-08 左下腿外側の掌圧

  

手順

前項までは術者からみて手前側にある右脚内側が対象でしたが、ここでは向こう側にある左下腿に施術をします。
左足の外側縁から膝の手前まで、下腿外側面を掌圧します。
左右の手のひらを一枚の柔らかい布であるかのように下腿の表面に沿わせ、やさしく圧を加えてください。

施術の目的

前脛骨部の筋(=足指や距腿関節の背屈に係わる)の圧迫。

補足

施術のコツ:足先に側方からの力を加えると痛くなりそうですが、実際はかなりのレベルまで平気なので、強い圧迫をしても大丈夫です。

 3-09 腓骨後方のラインを指圧

  

腓骨後方のラインを指圧

手順

① 肘を伸ばして拇指をあてたときに、左下腿が術者の真下に見える位置に腰の位置を調節(本項の場合は高めに)し、
② 左下腿の腓骨後方から腓骨頭後方に至るラインを想定し、3~4回に分けて指圧します。
③ 四指を使って、下腿が前方に逃げるのを抑制しながら、左右の拇指を揃えて使います。

施術の目的

腓腹筋外側頭、長腓骨筋、短腓骨筋の指圧

補足

施術のコツ:腓骨の両端である外踝と膝下外側の腓骨頭は容易に指に触れますが、途中は筋肉に隠れています。筋組織に埋もれた腓骨の感触を拇指で探りながら施術しましょう。
また、四指を脛骨にあてて、ものさしにする、というのも便利でしょう。

 3-10 大腿後面中央のラインに指圧

  

ほんだらぶしほんだらぶし

手順

① 術者は、マッサージを受ける人の頭の方向に体の向きを変えます。
② 大転子に右手を軽く沿え、側臥位の体勢が崩れるのを防ぎます。
③ 左大腿の真後ろ中央の膝窩から坐骨に至るラインを、左拇指で指圧します。

施術の目的

大腿後部の諸筋(=主に足指や足関節の底屈に係わる)の指圧

補足

施術のコツ:上体を前方に傾けて、少し低い姿勢で座ります。肘から拇指までを一直線に伸ばし、拇指が大腿後面中央に直角に当たるように前腕の向きを調節します。

 3-11 中殿筋を前腕で圧迫/ストレッチ

  

手順

①:側臥位で横たわる相手のお尻の後ろに立て膝を突き、左手を大腿部前面にあてて側臥位が崩れないように保ちます。
②:右前腕の肘に近い部分を使って、大転子から腸骨稜に向けてストレッチしながら圧迫します。この際前腕を僅かに回外させ、臀部側面の窪み全体に圧迫が及ぶようにします。

施術の目的

中殿筋の圧迫

補足

施術のコツ:“前腕の肘に近い部分を使う”と書いてもなかな理解し難いですが、“前腕の中央部分での圧迫は全く効かない”ということは知っておいてください。肘頭の縁から手のひらを横に当てたくらいの部分を使います。
また、“前腕を回外しながら”、というのも初心者が躓き易いところ。術者の上体が肘と一緒に傾いてしまう間違いが多い。前腕の回外と同時に上体を前に傾けるようにするのがコツです。
術者自身の肩を痛めないよう、脇をしっかり締めておくことも大切です。

 3-12 大腿の後面を足底で圧迫

  

大腿の後面を足底で圧迫大腿の後面を足底で圧迫

手順

① 体を相手の頭方向に向けて座ります。
② 左手で左足首を持ち、膝関節を直角に曲げます。
③ 左足底を使ってマッサージを受ける人の左大腿後面を圧迫します。膝に近い部分から坐骨方向に向かって3,4回に分けて施術します。

施術の目的

大腿部後面の筋群全体に軽めの圧迫をする

補足

施術のコツ:① 土踏まずの窪み部分が常に大腿の膨らみにフィットし、また表面対して直角になるように、左手で足首または足先を押し引きして調節します。
膝に近い部分の圧迫では手前に引き(上図)、股関節に近い部分の圧迫では前方に送り出すようにします(下図)。
② 上記のように足首または足先を押し引きする際に、知らずの内に左手に強い力を入れてしまう間違いが多く見られます。ここは極軽く支え持つようにすることを心掛けましょう。

 3-13 大腿を前後から圧迫

  

手順

① 前項に続いて体を相手の頭方向に向け座り、術者の左足底を相手の大腿部後面の膝に近い部分にあてておきます。
② 前に思い切り屈みこんで大腿前面に両手の掌をあてて引き寄せると同時に、左足底で大腿後面を圧迫します。
③ 大腿前面にまんべんなく圧(この場合引き寄せる方向で)を加える目的で、掌の位置を2,3回変えて施術します。この間、左足底の位置は変えません。

施術の目的

大腿部前後の筋全体に軽めの圧迫をする。

補足

施術のコツ:① この施術では左右の手首を限界まで掌屈する必要があります。この掌屈を保ったまま、上体を起こしながら、手のひらを手前に引きましょう。
② 手のひらを引く力と、左足底で踏む力を拮抗させます。
③ 左右の手のひらを手前に引き寄せる際に手首の掌屈が緩むと、大腿前面が外側に捻られるため皮膚が引っ張られ、引き裂き刺激を与えますので注意してください。

 3-14 下肢外側の筋を叩く

  

下肢外側の筋を叩く

手順

① 前項に続き、術者は上体をマッサージを受ける人の頭方向に向け座っています。左足底を相手の大腿部後面、膝に近い部分にあてておきます。
② 大転子周囲では中殿筋と大臀筋、続いて大腿部前面の大腿直筋、膝関節を跨いで下腿の伸筋群を叩きます。

施術の目的

筋束にこれまでと違う刺激を与え、施術の流れにメリハリをつける。

補足

注意:術者自身の指を傷めるので、大転子と膝関節及び腓骨頭は叩かないようにしてください(図では赤く表示)。
施術のコツ:手で叩く方法はいくつかありますが、本項では指を軽く握り、手のひら側の面を使う方法を用います。手首を鞭がしなるように柔らかく使い、手が対象物にあたる寸前で手首を引き上げるようにすると、しなやかな施術になります。

 3-15 脊柱起立筋の指圧

  

脊柱起立筋の指圧脊柱起立筋の指圧

手順

① 左手を大転子付近にあて、側臥位が崩れないようにします。
② 右手の拇指で左の脊柱起立筋(側臥位では棘突起の上になっている方)を指圧します。仙骨付近から首の方向を目指し、8回から10回程度に分けて施術します。

施術の目的

脊柱起立筋の軽いほぐし。腹臥位とは違い、側臥位で背中を施術すると力が逃げるので、軽い刺激になります。

補足

施術のコツ:施術を続け、右拇指が肩甲骨に近づくと、マッサージを受ける人の上体が徐々に前に倒れていくことがあります。こうなると指圧の力が有効に伝わらないので、固定に用いる手を左右入れ替え、肩や大転子部分を支え持ち、側臥位を維持します。

 3-16 肩甲骨周囲の指圧:外側縁

  

肩甲骨周囲の指圧:外側縁

手順

① 術者は肩関節が真下にみえるよう、立膝をつきます。右手を右肩にあてて側臥位を安定させます。
② 肩甲骨外側縁を肩関節の真後ろから肩甲骨下角へ3,4箇所に分けて指圧します。

施術の目的

小円筋・大円筋・前鋸筋・広背筋への指圧

補足

施術のコツ:青く示した部分は皮膚直下に触れることができる骨部分です。施術の目安にしてください。

 3-17 肩甲骨周囲の指圧:内側縁

  

手順

① 術者は軽く腰を浮かせた姿勢をとります(相手との体格の差に応じて姿勢を変える)。
② 肩甲骨内側縁を下角から上角まで、5、6回に分けて指圧します。

施術の目的

菱形筋・脊柱起立筋・僧帽筋上行部への指圧

補足

施術のコツ:赤い部分が脊柱起立筋群、青く示した部分は皮膚直下に触れることができる骨部分です。施術の目安にしてください。
腰の部分が腸骨稜、点線は脊椎の棘突起、肩の両側に肩甲下角、肩甲上角、肩甲棘が示されています。

 3-18 肩甲棘の上側を指圧

  

肩甲棘の上側を指圧

手順

① 術者は踵に腰掛けます。
② 肩甲棘の上側に指圧が直角に加わるよう、術者の前腕をマッサージを受ける人の胴体と平行にし、上体を低く構えます。
③ 肩甲棘の上側の溝を、肩峰内側から肩甲骨内側縁まで、3、4回に分けて指圧します。

施術の目的

棘上筋の指圧

補足

施術のコツ:“②”に書いた、前腕の向きを変えるということが重要で、棘上筋に圧迫を加えるためには欠かすことができない動作です。この筋は、棘上窩という筒を半分に切ったような部分に詰まって存在しており、胴体に直角に指圧しようとしても指が届きません。

 3-19 棘下窩の指圧

  

棘下窩の指圧

手順

① 術者は踵に腰掛けます。
② 棘下窩に直角の力が加わるよう、前腕をマッサージを受ける人の胴体と直角にします。
③ 肩甲棘の直下を重点的に、棘下窩をまんべんなく指圧します。

施術の目的

棘下筋の指圧。

補足

施術のコツ:棘下窩は棘上窩のような深い部分も無く、そこに付着する棘下筋も背中側に筋腹を薄く広げていることから、以下のような注意が必要です。
① 前腕の向き(=指圧の方向)はクライアントの胴体と直交させる。
② 強烈な指圧をすると痛みを与えてしまうから、柔らかな刺激となるよう調節する。

 3-20 側頭筋のストレッチ

  

側頭筋のストレッチ

手順

① 右手の四指を頭頂部にあてて支えにし、
② 拇指ででこめかみから耳の周りの筋をストレッチしながら圧迫します。

施術の目的

側頭筋のストレッチ/指圧

補足

施術のコツ:こめかみから頭頂部に引き上げる向きでストレッチしながら、拇指の腹を回転させつつ指圧します。頭頂部にあてた右手の四指は動かさずに、拇指のみで施術するのです。

 3-21 項部の脊柱起立筋群に側方から指圧

  

手順

① 側臥位になったマッサージを受ける人の肩に術者の片手を置きます。
② 右手の拇指を側頸部の後ろ側にあて、2,3回に分けて指圧します。

施術の目的

項部の脊柱起立筋の指圧

補足

施術のコツ:さて、ご自身で外耳道の真下の側頚部を強く押してみてください。
非常に硬い感触に伴って、わりと強い痛みがありますね?この部分には頚椎の横突起があり、本項の施術範囲ではありません。
本項で目的とするのは脊柱の棘突起から横に指3本分の範囲です。別の表現では、真横から見たとき、耳介の後ろの縁から真っ直ぐ足の方向に向かうラインより後ろ側になります。

 3-22 僧帽筋下行部の指圧

  

僧帽筋下行部の指圧

手順

① マッサージを受ける人は側臥位になり、術者はその背後に膝をつきます。
② 左手を相手の胸の前の床に置き、術者自身の体重を両脚と左手で完全に支えます。
② 右手の拇指を僧帽筋下行部の首から下の部分にあて、2,3回に分けて指圧します。

施術の目的

僧帽筋下行部を指圧

補足

施術のコツ:右前腕の軸を、マッサージを受ける人の体幹の軸と平行に保つようにすると、無駄なく圧を掛けることができます。

 3-23 前腕の中央に指圧

  

手順

① マッサージを受ける人の背後に寄り、立て膝をつきます。
② マッサージを受ける人の手のひらを下向きにして、上腕を体の上に重ね、
③ 四指で前腕の位置を安定させ、手首から肘方向に2~3箇所に分けて指圧します。

施術の目的

前腕伸筋群の指圧。

補足

施術のコツ:マッサージを受ける人の背中ギリギリの位置に立て膝を着くと、姿勢が崩れそうになった場合にも術者の大腿部で支えることができます。

 3-24 上腕後ろ側の指圧

  

上腕後ろ側の指圧

手順

① 03-23の体勢を保ったまま、上腕の後ろ側に指圧をします。術者はマッサージを受ける人の背後に寄り、立膝をついています。
② 肘の中枢寄りから圧を掛け始め、肩関節真後ろまで2~3回に分けて指圧します。

施術の目的

上腕三頭筋と三角筋の指圧。

補足

施術のコツ:指圧している部位が安定しない場合は、片手の拇指をもう一方の掌の下において左右の掌で上腕を握るようにするとよいです。

 3-25 上肢外側に掌圧

  

手順

① 03-23の体勢を保ったまま、上肢の外側に掌圧をします。術者はマッサージを受ける人の背後に寄り、立膝をついています。
② 手先から圧を掛け始め、肩関節真上まで何回かに分けて掌圧します。

施術の目的

上肢の広い範囲に柔らかい圧迫を加える。

補足

施術のコツ:体幹に上肢を押し付けるのではなく、術者の掌を上肢に巻きつけて圧迫を掛けると手元が安定します。上肢を掌で包むように、という表現もあるでしょう。

 3-26 上肢を持ち上げて手のひらを指圧

  

上肢を持ち上げて手のひらを指圧

手順

① 術者はマッサージを受ける人の背後に立膝をついています。
② 手の甲に術者の左右の拇指球をあて、
③ 左右の四指をそれぞれクライアントの拇指球と小指球にあて、挟むようにして圧迫します。

施術の目的

拇指球と小指球を圧迫する。

補足

施術のコツ:上肢を中途半端な位置に持ち上げないで、しっかり垂直にすれば、重さが気にならなくなります。

 3-27 上肢を持ち上げて指圧(頭に近い側)

  

上肢を持ち上げて指圧(頭に近い側)

手順

① マッサージを受ける人は側臥位になり、術者はその背後で立膝をつき、相手の手首を持って上肢をまっすぐ持ち上げます
② 片手で手首を持って空中に支え、もう一方の手を使って上肢を指圧します。伸ばした四指と拇指の間に上肢を挟むようにし、手首方向から三角筋まで、数箇所に分けて施術します。

施術の目的

上腕二頭筋と三角筋、及び前腕の伸筋群への指圧

補足

施術のコツ:上肢が垂直になるように持ち上げると、片手で手首を支えても重さが気にならなくなります。

 3-28 上肢を持ち上げて指圧(足に近い側)

  

上肢を持ち上げて指圧(足に近い側)

手順

前項“3-27”の施術が終わったら左右の手を持ち替えて、同様の施術をします。

施術の目的

上腕三頭筋、前腕の屈筋群への指圧

補足

施術のコツ:上肢が垂直になるように持ち上げると、片手で手首を支えても重さが気にならなくなります。

 3-29 前腕を回外・回内させる

  

前腕を回外・回内させる

手順

① 側臥位で上に位置している方の上肢を持ち上げています。術者は立て膝をつくなどして、本施術がに都合の良い高さに位置します。
② 両手で前腕を挟み、揉むように軽く捩りながら、回内と回外を繰り返しおこないます。肘近くからはじめて手首で終わります。

施術の目的

前腕諸筋の大雑把な圧迫とストレッチ

補足

施術のコツ:術者は左右の手で相手の前腕を少し持ち上げながら施術することで、前腕が常に床面に対して垂直になるように調整すると良いでしょう。

 3-30 側臥位でおこなう体幹側面のストレッチ

  

側臥位でおこなう体幹側面のストレッチ

手順

① マッサージを受ける人は側臥位となり、術者はその背中側に位置します。
② 肘を曲げ、手のひらを床につけます。このときクライアントの指先を足の方向に向けておきます。
③ 片手を大転子に、もう一方の手を肘に当て、胴体の側面を上下方向に伸ばすよう、術者の両腕を押し広げます。

施術の目的

上腕三頭筋・肩甲骨外側面を起始とする筋・体幹側面の諸筋のストレッチ

補足

施術のコツ:本図では片手を大転子に、もう一方の手を肘に当てていますが、相手の体格や関節可動域の大小によって、膝関節の側面や上腕など、術者が手を置くことができる場所はいろいろあります。施術に都合が良いように場所を選ぶと良いでしょう。

 3-31 体幹前面のストレッチ

  

体幹前面のストレッチ

手順

① マッサージを受ける人は右を下にして側臥位になっています。術者は右膝を相手の背中の後ろ側の床につき、左膝を相手の臀部にあてます。
② マッサージを受ける人の左足を術者の大腿の付け根に乗せ、右の掌を、相手の肩関節前方にあてます。
③ 臀部にあてた術者の膝を支点にして、左右の手を同時に手前に引きます。

施術の目的

大胸筋、大腿四頭筋、腸腰筋のストレッチ

補足

別法:マッサージを受ける人の膝に関節可動域制限があったり、体格の差がありすぎる場合など、②の動作が上手くいかないことがあります。
その場合は相手の足先を術者の大腿部の付け根に載せる必要はありません。

 3-32 大腿部内側への圧迫:膝頭を使って

  

大腿部内側への圧迫:膝頭を使って

手順

① 右膝を床につき、両足先と右膝の三点で自身の体重を支えます。
② マッサージを受ける人の右足首(床側にある方)を持ち上げて膝を軽く屈曲します。
③ 術者の左膝を相手の大腿内側に乗せ押し付けるようにして2,3箇所に分けて圧迫します。

施術の目的

大腿部内側の筋に柔らかい圧迫を加える。

補足

施術のコツ:左膝には体重を載せません。術者は自身の大腿部の重みだけを使って、相手の大腿部内側に膝を押し付けるようにします。
大腿部の膝から10cmくらいの位置に、特に痛みに敏感な部分(血海)があります。ここに体重を載せすぎると痛みを与えますので注意。

 3-33 体幹の捻転ストレッチ:手を引いて

  

体幹の捻転ストレッチ:手を引いて体幹の捻転ストレッチ:手を引いて

手順

① マッサージを受ける人にたのんで、右手で術者の右手首を握ってもらいます。右膝を床につき、両足先と右膝の三点で自身の体重を支えます。
② 術者の左手を臀部に押しあて、マッサージを受ける人の右腕を手前に引きよせます。

施術の目的

体幹の捻転によって背部と腹部の筋をストレッチする。

補足

施術のコツ:お互いの体格によっては、術者の右手や右膝を臀部に押しあてて施術するほうが上手くいく場合もあります。

 3-34 体幹の捻転ストレッチ:上腕~腰部

  

体幹の捻転ストレッチ:上腕~腰部

手順

①:握り合っていた右手を離します。
②:左上肢を挙上させ、上腕を術者の右手で押さえて固定します。
③:左膝外側(体格によっては臀部)に術者の左掌をあてます。
④:両手に均等に体重をかけストレッチを完成させます。

施術の目的

体幹の捻転ストレッチと上肢帯のストレッチ

補足

施術のコツ:相手の体格によって、手を当てる位置を工夫します。 ○ 大きい体格の場合は・・・
右手を相手トの左上腕の肘に近い部分に置き、左手を左膝の外側にあてる。 ○ 小さい体格の場合は・・・
左肩関節のあたりに術者の右手を置き、左手を相手の臀部にあてる。
  ○ この他、臀部を術者の片方の膝で押さえるやり方もあります。

 第4章へ

  
《 移動 》

側臥位で横たわる相手の前腕を腹の前に置き、左膝と左の肩を持って手前に引き、相手の体を仰向けにします。