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第2章:仰向けで下肢に施術

 第2章の概要

《 以降の施術の流れ 》

本章から第4章までは、体の左側からだけ連続して施術します。その後、再び第2章に戻り、こんどは体の右側から第4章まで施術します。 全体の流れとして言い換えると、第1章(左右から)⇒第2章~第4章(左から)⇒第2章~第4章(右から)⇒第5章~ということになります。

《 本章の概要 》

第2章では下肢に施術します。マッサージを受ける人には仰向けの姿勢をとってもらいます。 脚への施術に重点を置くセクションで、指圧や掌圧に加え、足裏での圧迫やストレッチなど、技が多彩な広がりをみせます。 本章は、“2-01”~“2-18”を前半、“2-19”~“2-31”を後半とする2つに分けて考えると覚え易いでしょう。

 2-01 足裏の指圧

  

ふくらはぎのストレッチ足裏の指圧

手順

①:被術者の左足元に座り、両膝を開いて相手の足裏が上を向くようにします。
②:足裏に縦の3本線を想定し、これに沿って両手の拇指でまんべんなく指圧をします。四指は足背にあて、足裏がぐらつかないよう固定し、肘関節をしっかりと伸ばして加重します。

施術の目的

足底の軟部組織を刺激する。

補足

施術のコツ:施術の際に頭をさげないでください。
慣れないうちは、正しい位置を確認するため手元に視線が向かいがちですが、視線と共に頭が下がっていることがあります。手元を確認したくなったら、下目使いで見てください。
そのわけは・・・⇒

 2-02 ふくらはぎの指圧:脛骨の内側に沿って

  

ふくらはぎの指圧:脛骨の内側に沿って下腿の断面

手順

①:マッサージを受ける人の左脚を持ち、股関節を外側に開き、膝関節を軽く曲げます。
②:目的の部位が施術者の真下に来るよう、下腿の方向を調整し、
③:脛骨の際を内踝から膝方向に向かって指圧します。

施術の目的

腓腹筋内側頭の指圧

補足

施術のコツ:脛骨の内側端のラインは、足の親指を12時、踵を6時と仮定した場合、9時の位置が目安となります。左の透視図を参照してください。
拇指の側面で脛骨の縁を確かめながら指圧します。脛骨の際を拇指の側面で探りながら、位置を確認して指圧します。

 2-03 ふくらはぎの指圧:腓腹筋内側頭中央のライン

  

足底の指圧下腿の断面

手順

下腿の真後ろのラインと脛骨内側端のラインの中間に、腓腹筋内側頭中央のラインを想定し、このラインに沿って指圧をします。
内側のくるぶし付近から膝関節手前まで、徐々に移動しながら指圧します。

施術の目的

腓腹筋内側頭の指圧

補足

施術のコツ:指圧しようとする部位が施術者の真下に見えるような位置に下腿の方向を揃えると、圧迫の強弱のコントロールが楽になります。
脛骨内側端のラインを9時、下腿の真後ろのラインを6時と仮定したとき、7時または8時の位置を目安とします。透視図参照。

 2-04 足裏と下腿内側を掌圧

  

足裏と下腿内側を掌圧足裏と下腿内側を掌圧

手順

目的部位が術者の真下に見えるよう、足裏と下腿の位置を調節し、数回に分けて丁寧に全体を掌圧します。

施術の目的

当該部位への柔らかい圧迫。

補足

施術のコツ:左右の手のひらを、それがあたかも柔らかい布であるかのように、目的の部位に纏わりつくようイメージして施術してください。
また、腓腹筋を手根で圧迫すると痛みを与えるので注意。手根圧と掌圧の違い・・・⇒

 2-05 大腿内側の指圧:内転筋群前方のライン

  

大腿内側の指圧:内転筋群前方のライン大腿内側の指圧:内転筋群前方のライン

手順

①:マッサージを受ける人の左下腿をまたいで、その両脇に左右の膝を着きます。 左足内側のアーチ部分が術者の右足首の下になるよう固定し、位置決めをします。⇒術者は膝と足先の四点で体重を支える。
②:股関節を外転・外旋させます。こうすると、脚を閉じようとする際に使う筋群(長内転筋や大内転筋など)がストレッチされ、脚の付け根から大腿内側に張り出してきます。
③:最も張り出して見えるのは、恥骨から大腿骨側面を結ぶ短内転筋です。この筋の前側と膝関節手前を結ぶラインを想定し、ここを数回に分けて指圧します。

施術の目的

大腿部内側の深部筋に強い圧迫を加える。

補足

施術のコツ:“①”の部位の固定に際して、相手の左足を施術者の足首で圧迫していることに気づかないことがあります。これは無意味な痛みを与えます。だから、マッサージを受ける人があなたより大きな体型である場合は、無理して“①”の固定に拘ることはありません。

 2-06 大腿内側の指圧:内転筋群後方のライン

  

大腿内側の指圧:内転筋群後方のライン大腿内側の指圧:内転筋群後方のライン

手順

①:2-05と同様に位置決めをします。マッサージを受ける人の股関節は外転・外旋し、術者は足関節付近を押さえるように膝と足先をついて構えています。
②:大腿部内側の足の付け根に最も強く張り出している短内転筋の後ろ側と膝関節手前を結ぶラインを想定し、ここを数回に分けて指圧します。

施術の目的

大腿部内側の深部筋に対して指圧する。

補足

施術のコツ:本施術は膝付近から脚の付け根に向かって行いますが、鼠径部付近では下図にあるように左手を回内し、手のひらが恥骨部と接触するのを避けるようにします。

 2-07 大腿内側の掌圧

  

大腿内側の掌圧

手順

①:2-05と同様に、マッサージを受ける人の左下腿をまたいで左右に術者の膝を着きます。相手の左足内側のアーチ部分が術者の右足首の下になるようにし、位置決めをします。⇒術者は膝と足先の四点で体重を支える。
②大腿内側で脚の付け根から大腿内側に張り出している筋を避けて、大腿部内側に広い面圧を加えます。

施術の目的

大腿部内側の筋全体に柔らかい圧を加える。

補足

施術のコツ:前項で紹介している短内転筋の張り出し部分に手根圧を加えると強い痛みを引き起こし、良い印象を与えないでしょう。
短転筋の真上で中手指節間関節を軽く屈曲し、張り出し部分に圧が加わらないようにしてください。

2-08 大腿内側後ろ寄りの掌圧

  

大腿内側後ろ寄りの掌圧大腿内側後ろ寄りの掌圧

手順

①:マッサージを受ける人の足首を持ち、術者の鼠径部にあてます。⇒術者の腹と大腿部に相手の踵を載せて支える形になります。
②:こうすると目的の部分が術者の真下に見えます。左右の手を交互に使って(または両手の手のひらを揃えてもよい)掌圧します。

施術の目的

大腿部内側の後ろ寄り部分の圧迫。

補足

施術のコツ:両手を同時にあてて体重移動すれば柔らかい圧迫になり、左右の手を交互に用いると強い圧迫になります。

 2-09 大腿部後面内側に手根圧

  

大腿部後面内側に手根圧

手順

①:右足をマッサージを受ける人の腰の横あたりにつきます。左膝は相手の坐骨から5cmくらい手前の床につきます。
②:術者の右前腕に相手の下腿を載せ、右の手のひらを相手の膝頭にあてて、下腿を支え持ちます。 ③:左手の手根部を大腿内側の後面にあて、肘を真っ直ぐに伸ばします。
④:右膝を曲げながら体重を前に掛けていくと、当該部位に手根圧が加わります。

施術の目的

大腿部内側の後ろ寄り部分の圧迫。前項2-08で掌圧したのと同じ部分に手根圧を加えます。

補足

参考:本施術を横方向から見ると、術者の右踵、左膝、股関節、右手の四箇所を角に持つ四角形ができています。その四角形を平行四辺形につぶしていくイメージで施術します。

2-10 大腿後面外側に手根圧

  

拇指圧

手順

①:右足をマッサージを受ける人の腰の横あたりにつきます。左膝を相手の坐骨から5cmくらい手前の位置で床につきます。(ここまで2-09と同じ)
②:術者の左前腕に相手の下腿を載せ替え、左の手のひらを相手の膝頭にあてて、下腿を支えます。
③:右手の手根部を大腿外側の後面にあて、右肘は真っ直ぐに伸ばします。
④:右膝を曲げながら体重を前に掛けていくと、当該部位に手根圧が加わります。

施術の目的

大腿部外側の後ろ寄り部分の圧迫。

補足

施術のコツ:肘をしっかりと伸ばして施術します。また、自身の大腿部をガイドとして腕を固定すると手元が安定します。
前項と同じく、本施術を横方向から見ると、術者の右踵、左膝、股関節、右手の四箇所を角に持つ四角形ができています。この四角形を平行四辺形につぶしていくイメージで施術すると良いと思います。

 2-11 大腿後面を足底で圧迫

  

大腿後面に足底圧

手順

①:マッサージを受ける人の左大腿部を外側に開いて、術者の右足関節の上に置きます。術者は右足を背屈し、足の甲で相手の大腿部を支えます。
②:左手を右膝の上または付近の床に置き、右手でマッサージを受ける人の左中足部を持ちます。 
③:以上のように姿勢の準備ができたら、左足裏で大腿部後面を圧迫します。膝から股関節方向に3,4回に分けて圧迫します。

施術の目的

大腿部後面の圧迫。

補足

施術のコツ:術者の足底が相手の大腿にうまくフィットするよう、マッサージを受ける人の足首または足先を持ち、前後に動かします。
股関節に近い部分では足首を前方に送り出し、膝に近い部分では足首を手前に引きます。

 2-12 大腿前面への掌圧と後面への足底圧

  

大腿前面への掌圧と後面への足底圧

手順

①:前項2-11に続き、マッサージを受ける人の左大腿部を外側に開き、膝を直角に曲げておきます。
②:術者は右足をクライアントの大腿の下から手前に抜いて左足と揃え、左右の足底を大腿部後面に揃えてあてます。 
③:左右の手のひらを大腿の前面に揃えてあて、手首を直角に掌屈します。
④:以上のように準備ができたら、左右の足裏で大腿部後面を圧迫しつつ、左右の手のひらで大腿部前面を圧迫します。膝から股関節の間を2,3回に分けて圧迫します。

施術の目的

大腿部後面と前面を同時に圧迫する。

補足

大腿後面を足で踏む力と、大腿前面を手で引き寄せる力を拮抗させて施術します。

 2-13 下腿を持ち上げて大腿後面をストレッチ

  

大腿後面への足底圧/ストレッチ:下肢を持ち上げて

手順

①:術者の左足の親指外側をマッサージを受ける人の左坐骨に軽くあてて位置を決めます。
②:前項で床の上で外側に開いていた左下肢を、足首を両手で持ち上げます。股関節と膝関節が直角に屈曲し、下腿が床面と水平になります。
③:左右の手で足首を手前に引きながら、右の足裏の前半分を使って大腿部後面を坐骨方向に圧迫します。

施術の目的

大腿部後面の筋を、膝から坐骨方向に向けてストレッチしつつ圧迫する。

補足

施術のコツ:大腿後面を過大な力で踏むことになり痛みを与えます。これを防ぐよう、足首を手前に引くと同時に、右足関節を背屈させてください。

 2-14 腸腰筋のストレッチ

  

腸腰筋のストレッチ

手順

①:前項2-13に続いて、坐骨にあてた術者の左足親指はそのまま坐骨を押さえておき、大腿部後面に当てていた右足をはずして体の外に伸ばします。
②:左足第一指の付け根で坐骨を支えながら、踵を相手の腰方向に押しこむようにしながら、
③:足首を手前に引っぱります。マッサージを受ける人の骨盤が浮き上がれば本施術は成功です。
④:この姿勢を4,5秒保ちます。この際術者は床に仰向けになっていて構いません。

施術の目的

腸腰筋と脊柱起立筋群のストレッチ

補足

注意:本項のように、長い時間足首を持っていると、足首周囲の皮膚に引き裂きの力が作用し、痛みを与えるおそれがあります。足首を握っている指を交互に離したり握ったりを繰り返すことで、これを避けることが出来ます。

 2-15 下肢背側面のストレッチ

  

下肢背側面のストレッチ下肢背側面のストレッチ

手順

①:両手でマッサージを受ける人の足首を持ち、相手の脚を引っ張るようにしながら自身の上体を起こします。
②:踵に手をあてて脚全体を持ち上げ、膝を伸ばして床から垂直に立てます。下肢後面の筋が硬い人や、股関節の可動域が狭い人の場合、下肢を垂直に持ちのは困難なので、浅い角度で施術します。
③:左手を大腿前部にあて、右手を踵に(アキレス腱にではなく!)あてます。
④:右手で踵を前方に送り出すのと同時に、左手で大腿部を手前に引くと、下肢の後ろ側の筋がストレッチされます。

施術の目的

下肢後面や臀部のストレッチ

施術のコツ

アキレス腱に手をあてていてはまったくストレッチが効きません。必ず踵にあててください。

 2-16 下腿と大腿後面の叩打

  

下腿と大腿後面の叩打

手順

①前項に続いて、右手を相手の踵にあてることにより下肢を垂直に支えています。
②左手を軽く握って拳を作り、その小指側を使って下腿と大腿の後面を叩きます。

施術の目的

下肢後面の筋群の瞬間的ストレッチ。

施術のコツ

下肢を垂直に立てると下肢の重さを支えている必要がないので楽に施術できます。しかし下肢の筋が硬い人に施術する場合は脚を垂直にま持ち上げられないので、下肢を支えるのに大きな力が必要になります。がんばってください。

 2-17 大腿外側を両手で掌圧

  

大腿外側の掌圧

手順

①:前項の施術後、マッサージを受ける人の左下肢を床に置きます。
②術者はその下肢に直角になるよう座り、自身の左膝を曲げて下腿の前面が相手の下肢内側にピタリと沿うようにします。
③相手の大腿部外側面に術者の両手をあて大腿部を手前に引き、自身の左脛に押し付けるようにします(マッサージを受ける人は軽く脚を開いた体勢となり、術者は左膝を深く曲げて相手の左脚の内側に下腿を沿わせる)。

施術の目的

大腿部を内外から圧迫する。

施術のコツ

手首を曲げ、大腿部を床方向に押し付けるつもりで施術します。
施術により、マッサージを受ける人の下肢が内側に回転(=股関節の内旋)しないようにしましょう。

 2-18 足裏の指圧

  

足裏の指圧

手順

①:前項に続き、マッサージを受ける人の左下肢は膝を伸ばしたまま床に置いています。
②:下腿内側の膝関節から近い場所に左手をあて、本施術による下腿のねじれを予防しつつ、
③:右手指の近位指節間関節を曲げ、そこから指先部分までを使って相手の下腿部を術者自身の下腿部に押し付けます。

施術の目的

大腿部を内外から圧迫する

施術のコツ

左の手のひらで下腿を『押す』、右の指で下腿を『引く』わけです。このように下腿を挟んで力をかけるつもりで施術すると、少ない力で強力な刺激が可能となります。

体勢を換える

ここまでを第2章の前半としました。次のユニットへの準備として体勢を変えます。
①:本章前半の“2-18”終了時には、マッサージを受ける人の左下肢は膝を伸ばしたまま床の上にあり、その内側に術者の左下腿がぴったり沿った状態です。
②:相手の膝下に外側から術者の手を入れ、膝を持ち上げ(曲げさせ)つつ、相手の胴体の軸に体の方向を合わせて正座します。

 2-19 ふくらはぎを左右に分ける

  

手順

①:相手の左膝を曲げ、その足元に正座し、相手の足先を膝のあいだに挟むようにし、足先を固定します。
足背に膝でのし掛かるのではなく、あくまで足先が左右に動かないようにするだけなので注意してください。
別法:術者が左右の拇指を組みその下側に相手の足先を入れて固定する方法もあります。相手の体格を観察しながら調整しましょう。
②:左右の拇指を脛骨前面の筋にあてて支点にします。(ただし相手の下腿が太くて術者の指が説明のように回らない場合は拇指の指圧よりも四指の動きを優先する。)
③:四指はふくらはぎにあて、腓腹筋内側頭と外側頭を中央から内外に分けるようなつもりで手前に引きます。

施術の目的

腓腹筋の横方向へのストレッチと、脛骨前部の筋の指圧。

施術のコツ

指の腹部分だけを使い、四指の先を突き立てないようにします。

 2-20 ふくらはぎの筋をひとまとめにして左右に分ける

  

膝蓋骨を廻す

手順

①:前項終了時、マッサージを受ける人の左膝は屈曲し、足先が正座した術者の膝のあいだに固定されています。
②:手指を五本とも揃えてふくらはぎにあて、ふくらはぎの筋肉を、ひとまとめにして手前に手繰るように引きます。左右の手を揃え少しずつ位置を変えながら施術します。

施術の目的

腓腹筋を横方向へストレッチする。

施術のコツ

左右の手を交互に使いつつ少しずつ場所を変えていきます。しかし左右の掌を継いでいくのではなく(それだと僅か2,3回の施術しかできない)、同じ部位に交互に掌をあてるようにします。

 2-21 脛骨の外側縁に沿ったラインに指圧

  

脛骨際のラインに指圧

手順

①:前項2-20施術終了時、マッサージを受ける人の左膝は屈曲し、足先は正座した術者の膝のあいだで固定されています。
②:術者の右手を相手の膝蓋骨の上に置いて、股関節を少し内転・内旋させます(=膝を内側に傾ける)。
③:左拇指の側面に脛骨の端を感じながら、場所を少しずつかえて指圧します。

施術の目的

下腿前部、脛骨と腓骨の間にある筋を指圧する。

施術のコツ

踵の上に座るなどして(体格の差によって使い分ける)、術者の胴体の高さを、少し高めに調節すると施術し易くなります。
怪我でもしていない限り、痛みに弱い場所ではないので、強い力で指圧しても問題ありません。

 2-22 脛骨前方外側の筋群に手根圧

  

脛骨前方外側の筋群に手根圧

手順

①:前項終了時、マッサージを受ける人の左膝は屈曲し、足先は正座した術者の膝のあいだで固定されています。
②:術者の左手を相手の膝蓋骨の上に置いて、股関節から下肢を軽度内転・内旋(=脚を内側に少し傾ける)させることにより、術者の右前腕が下腿と直角になるよう調節します。
③:右の手首の隅に脛骨の際(きわ)を感じながら、場所を少しずつかえながら脛骨外側の筋に手根圧をします。
術者の右前腕が下腿と直角になるよう、膝蓋骨を持った左手で調節し、施術に都合の良い角度に調節します。

施術の目的

脛骨前部の筋を強く圧迫する。

施術のコツ

踵の上に座るなどして(マッサージを受ける人との体格の差によって変える)、術者の腰の高さを、少し高めに調節すると施術し易いです。
右の手根部で、脛骨の前にある筋を床方方向に削ぎ落とすようなイメージで施術します。

 2-23 大腿外側面に手根圧

  

大腿外側面に手根圧

手順

①:前項2-22が終わった時点で、相手の左膝は屈曲し、足先は正座した術者の膝のあいだで固定されています。
②:術者の左手を相手の膝蓋骨の上に置いて、股関節の軽度内転・内旋を保ちます(=脚を内側に少し傾ける)。
③:右の手首で、場所を少しずつかえながら手根圧をします。

施術の目的

脛骨前部の筋を強く圧迫する。

施術のコツ

踵から尻を下ろして床の上に座るなどして術者の上体を前に傾け、肘の位置を低くして構え、右前腕が相手の頭の方向を指すようと施術し易くなります。

 2-24 大腿四頭筋と腸腰筋のストレッチ

  

大腿四頭筋と腸腰筋のストレッチ大腿四頭筋と腸腰筋のストレッチ

手順

①:前項2-23が終わった時点でマッサージを受ける人の左膝は屈曲し、足先は正座した術者の膝のあいだで固定されています。
②:左右の手のひらを並べて大腿前部にまっすぐ押しつけつつ、
③:同時に両手を術者側に引き寄せて、ストレッチを完成させます。腸腰筋のストレッチがうまく出来ると、相手の顎が頷くように小さく動くのがわかります。
膝から股関節の間を移動しながら2,3回施術します。

施術の目的

大腿四頭筋を引いて、ついでに腸腰筋を経て腰椎を前方に引く。

補足

注意:施術に際してマッサージを受ける人が薄い着衣を着ている場合や、大腿部の皮膚が剥き出しになっている場合、皮膚に引き裂き刺激を与え易いので注意しましょう。

 2-25 大腿四頭筋を内外に捻る

  

大腿四頭筋を内外に捻る

手順

①:前項2-24が終わった時点でマッサージを受ける人の左膝は屈曲し、足先は正座した術者の膝のあいだで固定されています。
②:左右の手のひらを並べ、或いは重ねて大腿の前部に押しつけ、
③:大腿の前の筋を内外の側面に捻ります。
膝から股関節の間を移動しながら2,3回施術します。

施術の目的

大腿四頭筋を直角方向にストレッチする。

施術のコツ

左右の手を交互に使いつつ少しずつ場所を変えていきます。2-20と同様の要領です。

 2-26 大腿を内外から圧迫する

  

大腿四頭筋を側面から圧迫

手順

①:前項2-25が終わった時点でマッサージを受ける人の左膝は屈曲し、足先は正座した術者の膝のあいだで固定されています。
②:大腿部に左右から掌をあて、大腿をはさんで圧迫します。場所を変えながら3,4回に分けて施術します。

施術の目的

大腿四頭筋をまとめてソフトに圧迫する。

施術のコツ

左右の前腕の向きが大腿部を中心として一直線に揃うようにイメージして施術します。

 2-27 大腿後面中央に沿って指圧

  

大腿後面中央に沿って指圧

手順

①:前項2-26が終わった時点でマッサージを受ける人の左膝は屈曲し、足先は正座した術者の膝のあいだで固定されています。
②:術者から見てWの字に見えるよう左右の拇指を並べ、大腿の後面中央にあてます。左右の四指を大腿の内側・外側にそれぞれあて、クライアントの大腿部が左右に振れないように抑制します。
③:膝窩から坐骨に向けて数箇所移動しながら指圧しますが、このままでは左の四指が陰部に接触しますのでその手前までを本施術の守備範囲とします。(2-28に続く。)

施術の目的

大腿後面の筋中央に強い刺激を与える。

施術のコツ

ここでは左右の前腕の向きが大腿部に直角に向かうようにして施術します。

 2-28 大腿後面中央、坐骨近辺の指圧

  

大腿後面中央、坐骨近辺の指圧

手順

①:前項2-27に連続する施術です。マッサージを受ける人の左膝は屈曲し、足先は正座した術者の膝のあいだで固定されています。
②:前項の施術で拇指が坐骨に近づいたら、左手を外してクライアントの膝の上にあて、下肢が内外に振れないよう固定(股関節の動きを抑制して)します。
③:右手の拇指で大腿後面の線を坐骨まで指圧します。

施術の目的

大腿後面の筋中央に強い刺激を与える。

施術のコツ

踵から尻を下ろして床の上に座るなどして、術者の上体を前に傾け、術者の右前腕の向かう方向がクライアントの頭を向くよう、右肘の位置を低く構えると施術し易くなります。

 2-29 大腿/下腿後面の圧迫と前脛骨筋のストレッチ

  

大腿/下腿後面の圧迫と前脛骨筋のストレッチ大腿/下腿後面の圧迫と前脛骨筋のストレッチ

手順

①:術者は右足を相手の腰の横に着きます。
②:術者の右前腕を相手の膝裏にあてて脚を持ち上げ、右前方に膝を持っていきます。
③:術者の左手を相手の左足先にあてます。
④:右前腕と左手に同時に均等に圧をかけて床方向に押し付けます。

施術の目的

大腿および下腿後面の筋に強い刺激を与えつ脛骨外側の筋をストレッチする。

施術のコツ

施術のやり易さは、術者の右足を何処に置くかで決まります。相手の体格によって最適な位置が変わります。「しっくり決まらないな」と感じたら右足の位置を奥の方に持っていくと体が安定するかも。

 2-30 大腿部内側のストレッチ

  

大腿部内側のストレッチ大腿部内側のストレッチ

手順

①:マッサージを受ける人の左足底を右大腿部内側につけて、左右の下肢で「P」のような形をつくります。この体勢が崩れないよう、相手の左足首の手前に術者の膝を着きます。
②:左手を相手の右の骨盤の前の部分(=上前腸骨棘と下前腸骨棘)にあて、右手は相手の左膝内側にあてます。
③:この体勢で左右の掌にゆっくりと均等に上半身の重みを掛け、ストレッチを完成させます。

施術の目的

大腿内転筋群をストレッチする。

施術のコツ

腸骨の前の部分は皮膚の直下に骨があるので、むやみに手首圧を加えると痛みを与えてしまいます。おまけにすぐ横は腹部なので力を逃がす場所が少ないこともあり、施術し難い部分です。
手首を前腸骨棘に軽く当て、手のひらを骨盤の外側にあて、圧迫が局所に掛かることを防ぐとよいでしょう。

 2-31 大腿前面のストレッチ

  

大腿四頭筋のストレッチ大腿四頭筋のストレッチ

手順

①:術者は自身の体幹がマッサージを受ける人の顔に向かうように位置します。
②:相手の左膝を限界まで曲げ、踵が腰の横に揃うようにします。
③:術者の左手を、相手の左の骨盤の前の部分(=上前腸骨棘と下前腸骨棘)にあて、右膝は相手の左大腿部膝付近にあてます。
④:この体勢で左右の掌にゆっくりと均等に上半身の重みを掛け、ストレッチを完成させます。

施術の目的

大腿四頭筋のストレッチ

施術のコツ

骨盤の前の部分は皮膚の直下に骨があり、無闇に手首圧を加えると痛みを与えてしまいます。腹部も隣接するため力を逃がす場所が少ないこともあり、圧迫が難しい部分です。
解決策:指先を外側(相手から見て)に向け、手根部で腸骨棘を押さえると痛みを防ぐことができます。
付記:下の図のように体幹がマッサージを受ける人と直角に向いていると、腸骨棘へ過大な圧迫が掛かるのでお勧めできません。

 第3章に向けて移動

大腿動脈の圧迫と開放大腿動脈の圧迫と開放

仰臥位から側臥位へ

①:前項2-32終了時、術者は自身の体幹がマッサージを受ける人の顔に向かうように位置しています。
②:相手の右肩関節を外転させ、左上肢は肘を屈曲して前腕を腹部の上に置きます。
③:相手の左下腿を持ち上げて右下肢と交差させ、右下肢の更に向こう側に下腿を置きます。
④:相手の左側から、左臀部と左肩を同時に持ち上げますと、仰臥位から簡単に側臥位に体位変換できます。