【 ぎっくり腰ってナンだ? 】
『ぎっくり腰』っていう言葉。それは『急性腰痛』のことを指す言葉です。そのような強い痛みを抱えたままでは、あなたの今日の仕事に影響するだけでなく、日常生活上のあらゆる局面で大きな不便と辛さを感じることでしょう。
急性腰痛を引き起こすのは、腰椎椎間板ヘルニア、椎間板変性による神経圧迫症状など、骨格に発生した問題による症状と、筋筋膜性疼痛のように腰周りの筋肉に問題が起きているものとに大別されます。
日常生活に大きな打撃を与える急性腰痛をどうすれば避けることができるのか、ご一緒に考えてみましょう。
【 日常生活に潜む危険 】
多くの腰痛患者に接してきた経験から、「腰に負担の掛かり過ぎる姿勢」というものがあり、腰痛の直接的または間接的な原因になっていると常々感じています。
ここでは、同じ目的の動作でありながら片方は腰に負担が掛かり、もう一方は負担を軽減することができる姿勢を列挙してご紹介したいとおもいます。 いずれも日常生活で多く経験する姿勢ばかりです。自分には無関係だとお考えのあなたも、以下のうち、左側に示したような『お勧めしない姿勢/動作』を長年続けていれば、いつの日か腰が悲鳴を上げることでしょう。
また、不幸にして既に腰の調子が悪い方も、更なる症状の悪化を招くことがないように右側に示すような動作を日頃から身に付けてまいりましょう。簡単なことです。

【 床から軽い物体を取り上げる場合・・・油断は禁物 】
重量のある物を持ち上げるときなら、その物体に出来るだけ近づいてしゃがみ、背や腹に力を入れると同時に脚の筋力を最大限に使おうとするでしょう。
ですが、ごく軽いもの、例えば携帯電話や小銭入れなどに手を伸ばすとき、左のイラストのように膝をのばしたままで腰を曲げているのではありませんか?
軽いからつい油断するのですが、あなたの体重を思い出してください。その半分は腰から上にあるのです。左のイラストにあるような姿勢では、上体の重みが上下の腰椎にすれ違いの力を加えるのです。右図のようにしゃがんでしまえばOKです。
※ただし膝の動きに制限のある方には右図もお勧めできない姿勢です。どうしたらいいでしょうか・・・考えどころです。座る生活を元に考えるしかありません。

【 靴を履く場合・・・手元に引き寄せる原則 】
ついついやってしまう、しゃがんで靴下や靴を履く姿勢。左側のイラストの姿勢はかなり腰部に負荷を与えますが、多くの方は特に意識しないでこのような動きをしているでしょう。
毎日少しずつ負担が加わることにより、腰痛を発生する要因になり得ます。
右図のように腰掛けるところがあればそれを利用し、自らが屈むのではなく靴を取り上げて履けば問題ないのです。
とても柄の長い靴べらを使うなら、立ったまま靴をお履きになっても大丈夫でしょう。中腰にならずに済みます。

【 洗面台での洗顔・・・肘を着いて上半身の体重を逃がす 】
上で紹介したとおり、体重の半分は腰から上にあります。腰を支点に考えると、肺が大きな体積を占めるので胸部は軽けれど、最も離れたところに重いもの、スナワチ頭部があります。洗顔などで、中腰の姿勢になると、支点となる腰部に大きな負荷が掛かります。
これを避けるには、左図のように腰を掛けるものを用意し、洗面台の端に肘を着くなどして上半身の重量を逃がせば、腰にかかる負荷を軽減することができます。

【 低い場所に掃除機を使う・・・手を着いて上半身を支える 】
繰り返しになりますが、あなたの体重の半分は腰から上にあります。
低く奥まった場所に電気掃除機のノズルを差し込む場合などは、腰部に大きな負荷が掛かるので、なかなか危険な状況といえます。
このような場合は、床に片手を着いて上半身の重量を逃がせば、腰にかかる負荷を軽減することができます。
雑巾掛けするときなら自然にこの姿勢になるのですが、何故か電気掃除機だと油断する人が多いようです。

【 浴槽の掃除・・・発想を変えて負荷を減らす 】
左のイラストのように中腰でお風呂掃除をするのはどうでしょう?
片手を浴槽の縁にかけていても、上半身の重さを支えきれないし、おまけに浴槽の掃除には腕に力を入れる必要があります。またまた危険な状況ですね。
腕が掃除に必要な力を出すためには下半身の安定が必要です。左図のような姿勢が腰椎へ掛ける負担は予想以上に大きなものです。
浴槽の外からやろうとせずに、ご自身が浴槽の中に入って作業すれば問題無いのです。それに隅々まで楽に手が届くから、掃除もやり易いですよ。
【 超簡単!腰痛予防のストレッチ 】
ベッドの上で寝転んだままできる、腰痛予防のストレッチを紹介します。同種のストレッチ体操などと比較して、
① 動作が簡単だから、覚えなきゃならないことが少ない。
② 寝ていて行なうストレッチだから姿勢を崩して倒れる心配がない。
③ 一動作=一呼吸なので時間が掛からない。
④ 普通の生活では動かす機会が少ない部分まで筋肉を使うことができ、簡単に血流促進が得られる。
などのスグレた特徴を持つストレッチです。(※一部は当院のオリジナル。えっへん。)
【 片方の腰を挙げるポーズ 】
① 床に仰向けになってどちらかの膝を曲げる。
② 図のように左側を曲げた場合は、顔を左側に向ける。
③ 左足首を底屈(=爪先立ち)して左側の尻を持ち上げる。こうして、右の肩から左膝までが一直線になるようにする。
このポーズを息を吐きながら3秒続ける。
この3つのストレッチの中で一番難しい?ポーズ。
上手くいかない例として、試しに×顔を左に向けないで、×腰を左右とももちあげると・・・どうです?腹部のストレッチ効果がなくなってしまいます。
【 体幹を捻るポーズ 】
① 前のポーズに続いて、床に仰向けになり、頭を左にむけたまま、
② 図のように右手を左膝のその側にあてて、下半身を右に廻す。
※ このとき膝関節は伸ばしてもよいし曲げてもよい。体が柔らかくて左の臀部に右手が届くようなら、そこに右手をあてて下半身を捻ってもよい。
③ このポーズを息を吐きながら3秒続ける。
上手くいかない例として、顔を左に向けないで行なうと・・・どうです?捻りの度合いが弱くなってしまうでしょう?
【 両手で膝を引き寄せるポーズ 】
① 前のポーズに続いて、左膝の下側を両手で抱え、
② 左の膝頭を引き寄せて額につけるようにする。図のように頭を持ち上げて左膝との距離を縮めるよう努力する。やはり息を吐きながら3秒続ける。
この3つの動きでひとまとまり。終わったら反対側からも同様に行なってください。
左右交互に3セット行ないます。慣れてくると、たとえじっくり行なっても3分以内で済みます。
※ 動作中に痛みを感じる場合は、その動作は省略して次の動作に移ってください。次のセットで同じ動作を試みると、あ~ら不思議!痛みが少なくなっている・・・筈です。
【 腰痛のあるときの起床法・・・これ以上の悪化を避ける 】
起床しようとしたら腰部の強い痛みでまったく動けないのに気付いた・・・医療機関に電話しようにも先ずは起き上がらなければ始まりません。ベッドからトイレまでが遠い道程に思える、そんなときの体の起こし方を紹介します。
① 先ずはなんとか体を横にして、
② 脚を左右ともベッドの縁から外側に出します。
③ 手の力で上体をゆっくりと持ち上げます。あせらないことが肝心。
横向き(=側臥位)にもなれない場合は無理に起き上がろうとしないで様子を見ます。暫くすれば横になることが可能となるのが普通です。
※ここではベッドで休んでいることを想定しています。布団でお休みの方の場合は徐々に四つ這いになるしかありません。腰痛の予感があるときは、ある程度高さのある場所で体を横たえていたほうが、起きるのが楽になるようです。
【 肩凝りってナンだ? 】
誰かが『肩が凝る』というとき、それは首の付け根から肩甲骨くらいまでの持続する重い感じ、あるいは首を動かした際の傷みなどを表現していることが多いようです。
肩こりの原因は、骨格に起こった構造的な問題を要因とするもの、近々の動作や習慣による負荷を要因とするものに大別されます。
具体的には、頚椎の椎間板変性や、頚椎すべり症、頚椎周辺の骨格の生理的彎曲の乱れ、などが前者にあたります。
ディスプレイを長時間見つめるなど目を使い過ぎた後で感じる頸部の重い痛みや、朝起床したときから突然発生する強烈な痛みのために、頸部を動かすことがままならなくなる『寝違え』などは後者にあたります。もちろんスポーツで頑張り過ぎて過大な負荷を与えたなら、筋肉痛が発生してもおかしくありません。
以上のような症状を、世間では大雑把に『肩こり』や『寝違え』などと呼んでいるのです。でも実際には肩こりの実態は様々あるし、予防法もそれぞれ違って当たり前ですね。しかしあなたが自身の状態を正確に把握するのは困難でしょう。そこで一般的なアドバイスを書いてみました。
【 就寝中の保温 】
寝具に横たわっているときには意外に頸部が冷えるものです。頸の付け根から上は布団が掛かっていません。しかも寝ちゃっているから頸部の冷えに気付き難いのです。
なにも冬場に限った話ではなく、循環不全が原因と思われる肩こりの患者さんはどのような季節にもいらっしゃいます。
?頸部が冷えるとそんなにいけないことがある?・・・これが大アリで、長時間冷やされた頸部表面の筋肉は血流が悪くなります。血液が滞れば栄養の不足、酸素の不足、不要な物質の排泄不良といった現象が発生します。そこに明け方の低い気温が追い討ちを掛けます。で、目覚ましのベルが鳴り、起き上がろうとして頸部の筋肉を急に動かそうとすると、はい、筋痙攣あるいは攣縮という症状が発生、酷いときには『寝違え』の一丁上がり!となります。一旦酷い寝違えに掛かると概ね3日間は痛い思いをしなければなりませんので、大変です。
予防法は頸部の保温です。頸部周囲にタオルやスカーフなどを軽く巻いて就寝することで簡単に可能です。ホ○カイロなどを使用するのは低温火傷の原因になるのでお勧めできません。加温でなくて保温が必要だ、と覚えてください。
洗髪後にまだ水気が残っている内に就寝するのはお勧めできません。多くの気化熱が頭部から奪われるので頸部の冷えの原因となります。よく乾かしてから寝ましょう。
【 枕の選定 】
寝具の選定についてはよく訊かれる質問なので敢えて書きます。取り扱い業者にとっては商売の種ですから、それぞれの業者が幾分都合の良いバイアスを掛けた主張を展開しています。硬い寝具に軟らかい寝具、高い枕に低い枕、諸説ありますが、他のこと全てと同様に、万人に共通する完璧な寝具がただ一つであるわけありません。人間の体にはそれぞれの個性、感性があり、環境も違い、体型も色々、就寝中の体の動きも様々とあれば納得がいくでしょう?
そこでこの件に関して私が言えるのは、『あれこれ試して、最もあなたに合うものを選んでください。』と、これだけです。どのような寝具で寝るかより、頸の付け根の保温が重要です。
【 足のトラブルあれこれ 】
足のトラブルはさまざまあります。外傷性のものでは足関節の内返し捻挫が最も頻発する症状で、外力によって強制的に可動域を超えて捻られることが原因です。
慢性症状のなかで誰でも聞いたことのあるのは『外反母趾』でしょう。医療用語が入っていないIMEでも一発変換できるほどです。『巻き爪』と『ウオノメ』もよく知られています。
これらに比べて『偏平足』と『ハイアーチ』は耳に馴染みが無い方も多いことでしょう。アーチ構造の不整合の二つのタイプです。本人に自覚がないことが多いのですが、強い足の痛みの原因になっている例をよく見かけます。
稀な症例ですが、踵骨の骨棘(こつきょく)に悩まされている方も見えます。踵を地面に着くと強い痛みがあるのが特徴で、アーチ構造を支える足裏の筋や腱に関係する症状です。
【 足の骨格 】
足の骨格についてざっと見ていきましょう。爪先から踵方向に向けて説明します。
第一趾には2個、残りの趾(あしゆび)にはそれぞれ3個の指節骨があり、全ての趾は中足骨と関節します。
内側から3本の中足骨はそれぞれ第一~第三楔状骨と関節し、その3個の楔状骨は舟状骨に、舟状骨は距骨に関節します。
一方、外側の2本の中足骨は立方骨と関節し、その先で踵骨と関節しています。踵骨の上に距骨が重なるように関節を持っています。距骨の上面は滑車状になっていて、その上に脛骨が関節しています。
【 足裏の“7” 】
地球の重力によって、人間の身体はその体重に見合う分だけ常に引っ張っられています。だから足裏と地面が接触する部分で体重を支えなければ立っていられません。
身長170cmの人の足裏の面積は20平方センチほどですが、図で白色で示すように、指の根元の関節部分と土踏まず部分は地面と接触しないため、直接過重が掛かるのは10平方センチくらいです。
アラビア数字の“7”のように見える部分の角質が厚くなっており(肌色に示す。本図は正常なアーチ)硬い質感になっており、ここが体重を支えているのだとわかります。
【 縦のアーチ・横のアーチ 】

足の骨格が正常な位置関係を保っていれば、縦横二方向にアーチ構造が観察されます。
このアーチ構造により、踵と第一指の根本、第五指の根本の三箇所に荷重が分散され、足が床面に対して安定します。一本足や二本足の物体は容易に倒れるけれど、三本の足がある物体は容易に自立することができます。体重が足の骨格に沿って分散されるため、一部分に大きな負荷が掛かるのを防いでいるのです。
荷重分散の経路は以下の通り。
経路①:脛骨⇒距骨⇒踵骨に伝わるコース
経路②:脛骨⇒距骨⇒舟状骨⇒第一~第三楔状骨⇒第一~第三中足骨へ向かうコース
経路③:脛骨⇒距骨⇒立方骨⇒第四、第五中足骨へ向かうコース
【 偏平足とは? 】

縦のアーチが潰れ、足の内側が平らになり、土踏まずが無くなった状態を偏平足(へんぺいそく)と呼びます。
この状態では荷重は分散されないため、足の骨格に過大な負担を与えます。当然、足や下腿に様々な痛みをもたらす原因となります。
あなたやご家族の足は大丈夫でしょうか?ご自身では気付いていない方も多くいらっしゃいます。
因みに生まれたばかりの赤ちゃんは誰でも偏平足です。その後成長に伴って徐々にアーチ構造が完成するのですが、当院にご相談いただいた患者さんの年代は小学生から年配の方まであらゆる年齢層の方がいらっしゃいます。
簡易検査法:足底を床に着いた姿勢で、ご自身の人差し指を、足底の土踏まずに差し込んだとき、遠位指節間関節まで指が入らない場合は偏平足の兆候です。
【 ハイアーチとは? 】

偏平足とは逆に、土踏まず部分が極端に高く保たれ続けている状態を、ハイアーチと呼びます。やはり荷重の分散が正常に行なわれないため、足の骨格に過大な負担を与えます。これもまた足や下腿に様々な痛みをもたらす原因となります。偏平足と同様に、ご自身では意識していない人が多いです。
発生率も低いのですが、ちょっと走っただけで足の骨格全体に激しい痛みが広がるなどの症状に繋がり易い厄介なものです。
原因として足底にある筋・腱が過度に緊張していることや、靱帯の長さが骨格に対して短いことなどが考えられます。
簡易検査法:足底を床に着いた姿勢で、ご自身の人差し指を、足底の土踏まずに差し込んだとき、近位指節間関節まで指が入ってしまう場合はハイアーチの兆候です。
【 偏平足とハイアーチのケア 】

『偏平足』『ハイアーチ』の是正や『踵骨の骨棘』の治療に足底板が効果的なことは最近になって広く知られてきました。
足底の圧力を測って整形する簡易タイプ、硬質スポンジで型を取り立体整形をしたコルク製のもの、ベースプレートの上に立体的なパーツを貼り付けたものなど、多様なタイプがあります。
当院が開発し(組み合わせを選んだだけ?)、制作している『RSプレート』には以下の優れた特徴があります。
①個人の足底に完全に一致する“正確なモールディング”(=型を取って複製すること)が可能。
②他の履物(普段ご本人の履いているものに限ります)に自由に入れ替えて使用できる。
③摂氏80度以上の熱を加えることで変形するので、完成後でも細かい修正が可能。
④価格が安い。コルク製やパーツ組み立て式の1/5から1/10。
※写真は身長160cmくらいの女性用に制作したもの。これを靴の中敷に両面テープで貼り付けて使用します。
【 外反母趾とは? 】

足の裏に掛かる体重は、①第一趾とその付け根の部分、②第五指の付け根部分、③踵部分、の3つに分散されて地面に伝わります。
外反母趾の多くは、不適切な靴を長期に亘って履くことが原因となっていると思われます。
《初期段階》外反母趾の初期症状は靴を脱いでも足の第一指が外側に反ったままになってしまうこと。このころは自身の力で第一指を元通りに真っ直ぐ伸ばすことができます。
《進行段階》初期のうちに処置を怠ると、このころから徐々に痛みを感じてきます。自身の力では第一指を元通りに真っ直ぐ伸ばすことが困難になり、第一中足骨の骨頭が肥大してバニオンと呼ばれる瘤が出来てきます。
《不可逆段階》さらに症状が進行して完成期に至るとバニオンは益々成長し、第二趾が第一趾の上に乗り上げてしまう場合もあります。こうなると歩行困難をきたします。
【 外反母趾の原因 】

外反母趾の原因は先天的素因が影響するとの説もありますが、私が見てきた限りではその多くは履物が原因です。どうやら女性は爪先の尖った靴、足が楚々と小さく見える靴を好む傾向があるようです。ところが総じてそのような靴の外観は舟の舳先(へさき)のようなシェイプをもっています。
こうした靴には、第一趾が入る充分なスペースがありません。結果として第一趾の底で体重を支えることが出来なくなり、趾の付け根部分が替わりに体重を分担することになります。
女性も若いうちは関節が柔らかいので、無理矢理小さい靴に足入れしても痛みは感じませんが、長い期間履き続けると徐々に足先の骨格が変形してきます。そうなると足の指は靴のシェイプを保ったままになり、靴を脱いでも元に戻りません。
趾の底の代わりに体重を支えなければならなかった趾の付け根部分(=第一中足骨の骨)が徐々に肥大してきます。また第一中足骨と第二中足骨の間の距離も離れてきますので最終的にはイラストに示すような典型的な形が完成します。
【 外反母趾と靴の関係 】

この写真をご覧になれば、靴が外反母趾に大きく関与していることがお分かりになるでしょう。
足の痛みを訴えて来院された女性にお願いして撮影したものです。5年前今の会社に就職してから、ずっと彼女の横に置いてあるようなシェイプの靴をご愛用になっているとのこと。
足全体の形が、まさに履いてみえた靴をそっくり映したようになっているのがわかります。
20台半ばにして既に外反母趾が完成しています。彼女の足の骨格は、このまま形が決まってしまう運命なのか?
愛用している靴の形は足の骨格に大きな影響を与えますが、影響の程度は人によってまちまちです。しかし注目したいのは、影響を受け易い体質の方は、たった5年の間にご覧のような大き変化が起こるという事実です。放置すれば右側の写真(70台女性)のように、第二指が第一指に重なるような、重い変形をきたす可能性があるでしょう。
外反母趾が酷くなるのを防ぎ、元のような真っ直ぐな骨格にもどるチャンスはあるのでしょうか?
【 外反母趾の治療 】
外反母趾を是正しようとする試みは数々あります。母趾を内側に引っ張っるサポータを装着してみたり、母趾と第二趾の間にクッションを挟むなどの方法ですが、装着感が悪いという欠点がある上に、原因となった母趾のためのスペースが狭い靴をそのまま履き続けていれば、これらのサポータやクッションが挿入されることでますますスペースに余裕が無くなり、他の部位に痛みが発生したりもします。
この状態から更に症状が進行すると、第一中足趾と第二中足趾の骨頭の距離が開いてしまい、骨頭部分は膨らんでバニオンを形成します。こうなると激しい歩行痛を感じる場合もあり、そうなれば手術による整形外科的治療法の適応となることもあります。
総括すると、いったん外反母趾が進行してしまうと、保存療法では顕著な効果が得られ難いのが実情です。本格的に外見を整えようとするなら外科手術を受けなければならず、そうなれば術後の安静も含めてそれなりのストレスを覚悟しなければならない、ということです。
【 外反母趾を招きにくい靴とは? 】
こんな不便で辛い外反母趾状態を避けることは出来ないのでしょうか?
はっきり言って若い内なら大丈夫。進行を止めることは可能です。
先ず靴のシェイプを見直してください。
一番大事なのはその靴の尖端のデザインが母趾が中足趾の軸の延長上に伸ばせるスペースを確保するものであること。
母趾の尖端から先に関してなら、丸いシェイプや四角いシェイプ、尖ったシェイプなど、どんなデザインだって良いのです。
あまりに高さのあるヒールは歩き難いものです(本来ハイヒールはダンスシューズです)。しかし外反母趾に関していえば、上に挙げた条件さえ満たしていれば大丈夫。踵を載せる部分が地面に対して水平になっているものであれば尚良いでしょう。
外反母趾を招きにくい靴は、同時にウオノメや足首の捻挫などのリスクを減らしてくれるものでもあります。